アレルギー鼻炎や喘息に出されるモンテルカストってどんな薬?副作用や注意点も
アレルギー鼻炎や喘息に出されるモンテルカストってどんな薬?
副作用や注意点も

喘息で『モンテルカスト(キプレス)』を使っています。

アレルギー薬で1日1回タイプのお薬です。
重症のアレルギーの方に出されるお薬です。即効性は無いため毎日飲む薬です。
モンテルカスト(キプレス)はオンライン診療で処方可能です。
この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。
モンテルカスト(キプレス®/シングレア®)とは
モンテルカストは、ロイコトリエン受容体拮抗薬(LTRAs) に分類される経口薬です。
気管支ぜんそくやアレルギー性鼻炎の原因となる「ロイコトリエン」の働きをブロックすることで、症状の緩和を図ります。
- 1日1回、就寝前の服用で持続的な効果を発揮
- 吸入ステロイドや抗ヒスタミン薬のみでは症状が残る方の補助療法として使用されます
モンテルカストの特徴
■ ロイコトリエンに着目した比較的新しい治療薬
- CysLT1受容体(システイニルロイコトリエン1型) を選択的に阻害
- 気道の炎症に関わるロイコトリエンの作用を抑制
■ 承認の経緯
- 2001年:日本で成人・6歳以上小児の喘息治療薬として承認
- 2008年:アレルギー性鼻炎(成人)にも適応追加
- 2015年:水なしで服用可能な口腔内崩壊錠(OD錠)を承認
■ 1回投与で持続効果
- 血中半減期は約4~5時間
- 就寝前の1回投与で、24時間にわたり症状を抑制
効能・効果
- 気管支喘息(成人・1歳以上の小児)
- アレルギー性鼻炎(季節性・通年性/成人)
有効性データ(臨床試験より)
| 試験区分 | 対象 | 用量 | 主な結果 |
|---|---|---|---|
| 国内二重盲検試験(成人喘息) | 261例 | 10mg | 有効率55.6% |
| 第Ⅲ相試験(6–14歳小児喘息) | 202例 | チュアブル5mg | 60.9%が中等度改善以上 |
| 第Ⅱ/Ⅲ相試験(季節性鼻炎) | 約1,400例 | 5mg / 10mg | 鼻症状スコア:プラセボより有意改善、プランルカストに対して非劣性 |
※「全般改善度」または「総合鼻症状点数」のベースラインからの変化を評価。
用法・用量(基本は就寝前の1回投与)
- 成人・6歳以上の小児(ぜんそく): 10mg
- 1歳以上6歳未満の小児(ぜんそく): 細粒4mg
- 成人(鼻炎): 5〜10mg
- ぜんそくと鼻炎を併発している場合: 10mg推奨
※チュアブル錠5mgは水無しで、口腔内でかみ砕くことができるので、6歳以上のお子様に適したお薬となります。
使用できない方(禁忌)
- モンテルカストまたはその成分に過敏症の既往歴がある方
飲み合わせに注意が必要な薬
| 併用薬 | 影響 | メカニズム |
|---|---|---|
| フェノバルビタール | モンテルカストの作用が弱まるおそれ | CYP3A4誘導により代謝促進 |
- テオフィリン・ワルファリン・経口避妊薬などとの臨床的相互作用は認められていませんが、服用薬が多い方は医師にご相談ください。
副作用について
■ 重大な副作用(頻度不明)
- アナフィラキシー、血管浮腫
- 劇症肝炎・肝機能障害・黄疸
- 中毒性表皮壊死融解症(TEN)、Stevens-Johnson症候群(SJS)
- 血小板減少症
■ その他の副作用(0.1〜5%未満)
- 頭痛、傾眠、口渇、腹痛、下痢、肝機能検査値の上昇など
■ 注意すべき精神神経症状
- うつ気分、自殺念慮、攻撃的行動などの報告あり
→ ご本人・ご家族ともに異変を感じたら、すぐに医師へ相談を
まとめ - 当院からのアドバイス
モンテルカストは、「毎日継続することで効果を発揮するベース治療薬」です。
発作を止める即効薬ではないため、症状が落ち着いていても自己判断で中断しないようにしましょう。
- 気管支ぜんそくのコントロールや鼻閉の改善を目指して、処方どおり毎晩服用を続けてください。
- 副作用が気になる場合や飲み合わせについてご不安があれば、遠慮なく当院へご相談ください。
参考文献・出典
【添付文書・インタビューフォーム】PMDA(医薬品医療機器総合機構)
https://www.pmda.go.jp
【KEGG 医薬品データベース】
https://www.genome.jp/kegg/drug/D00529
【医中誌】臨床試験・安全性に関する国内論文
https://www.jamas.or.jp)
よくある質問(Q&A)
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この薬(モンテルカスト)の同じ系統の薬と比べた強みは何ですか?
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モンテルカストは「ロイコトリエン受容体拮抗薬(LTRAs)」に分類される薬で、同じタイプの薬にはプランルカスト(オノン)などがあります。
中でもモンテルカストは、1日1回の服用で24時間効果が続く点が強みです。また、チュアブル錠や細粒、口腔内崩壊錠(OD錠)など剤形が豊富で、小児から高齢者まで使いやすく設計されています。
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先発薬の発売年はいつですか?
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モンテルカストは日本では2001年に「キプレス®」として発売されました。
その後、2008年にアレルギー性鼻炎への適応が追加され、2015年にはOD錠(口腔内崩壊錠)も承認されています。
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1か月(30日)処方時の薬価と実際の自己負担額はどれくらい?
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成人に一般的に処方される**キプレス錠10mg(先発品)**で計算すると:
- 薬価:59.8円/錠
- 30日分:1,794円
- 自己負担(3割負担):約538円
※後発品(ジェネリック)「モンテルカスト錠10mg『サワイ』」だと、薬価は26.4円/錠となり、自己負担額は約238円に抑えられます。。
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モンテルカストの効果はどれくらいで現れますか?持続時間は?
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モンテルカストは内服後、3〜4時間ほどで血中濃度がピークに達し、約24時間効果が持続します。
そのため、1日1回就寝前の服用で日中の症状も抑えることができます。
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妊娠中でもキプレス(モンテルカスト)は使えますか?
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妊娠中の使用は、治療上の有益性が危険性を上回ると医師が判断した場合に限り可能とされています。
動物実験では安全性は示されていますが、海外では妊娠中の服用により出生児に四肢の奇形があったという報告もあるため、自己判断での使用や継続は避け、必ず医師と相談してください。
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授乳中にキプレス(モンテルカスト)を服用しても大丈夫ですか?
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モンテルカストは動物実験で乳汁中への移行が確認されていますが、ヒトでの明確な影響は報告されていません。
そのため、授乳を続けるか中止するかは、薬の効果と母乳育児の利点を天秤にかけて医師と相談することが大切です。
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子どもに使っても大丈夫ですか?何歳から使えますか?
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モンテルカストは1歳以上の小児にも使用可能です。以下のように年齢に応じた剤形と用量が設定されています:
- 1〜6歳未満:細粒4mg
- 6歳以上:チュアブル錠5mg または 錠剤10mg
また、服用のしやすさや副作用の出現に注意しながら投与する必要があります。特に精神的な変化(例:不安、イライラなど)にも注意を払いましょう。



