鼻の症状が1日2回のスプレーで軽くなる?「フルナーゼ」の効果と安全性を解説
鼻の症状が1日2回のスプレーで軽くなる?
「フルナーゼ」の効果と安全性を解説

鼻水・鼻づまりがつらいときに『フルナーゼ』をスプレーしています。

フルナーゼは、1日2回の簡単な使用でしっかりコントロールできる
5歳から使える点鼻薬です。
フルナーゼはオンライン診療で処方可能です。
この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。
フフルチカゾンプロピオン酸エステル(フルナーゼ)とは
フルナーゼは、ステロイド系の定量噴霧式点鼻薬です。
主成分のフルチカゾンプロピオン酸エステル(FP)は、鼻粘膜に対して強力な局所抗炎症作用を示し、
アレルギー性鼻炎や血管運動性鼻炎による「くしゃみ・鼻水・鼻づまり」の三大症状を改善します。
本剤には、**成人向け(1噴霧50μg)**と、**5歳以上の小児用(1噴霧25μg)**の製剤があり、
年齢や体格に応じて適切な用量が使えるよう設計されています。
フルナーゼの特徴
◆ 強い局所作用と低い全身影響
- 従来薬(ベクロメタゾン)と比較して、約2倍の抗炎症作用
- 体内で速やかに不活性化されるため、副腎抑制などの全身性副作用が起こりにくい
◆ 開発の経緯と製剤の展開
- 「局所作用は強く、全身影響は最小限に」という理想を掲げて開発され、1979年に現在の構造が完成
- 1991年に英国で発売、1994年に日本で成人用が承認
- 2003年には小児用(25μg/1噴霧)製剤が発売され、5歳以上の小児に対応
- 28回噴霧・56回噴霧の製剤があり、使用頻度やライフスタイルに合わせた選択が可能
効能・効果
- アレルギー性鼻炎(通年性・季節性)
- 血管運動性鼻炎
※一般的な抗ヒスタミン薬などで十分な効果が得られない場合に使用が検討されます。
有効性のデータ
- 小児試験:2週間の使用で、症状スコアが約50%減少
- 成人試験:最終全般改善度「中等度改善以上」84%
- スギ花粉症:飛散開始前から1日200µgの使用で、有症期の症状を大幅に抑制
👉 点鼻後の血中濃度は検出限界以下で、全身への影響が極めて少ないことが確認されています。
用法・用量(1日2回投与)
【成人用製剤(50μg/1噴霧)】
- 通常:各鼻腔に1回1噴霧 × 朝夕2回
→ 1日合計4噴霧(200μg) - 最大:各鼻腔に1回2噴霧 × 朝夕2回
→ 1日合計8噴霧(400μg)
【小児用製剤(25μg/1噴霧)|対象:5歳以上】
- 通常:各鼻腔に1回1噴霧 × 朝夕2回
→ 1日合計4噴霧(100μg) - 最大:1日合計8噴霧まで(200μg)
※効果を安定させるには、毎日の継続使用が大切です。
※5歳未満の小児には使用できません(適応外)
使用できない方(禁忌)
- 有効な抗菌薬が存在しない感染症/全身性真菌症
- 本剤の成分に対して過敏症の既往がある方
飲み合わせに注意が必要な薬
- CYP3A4阻害薬(例:リトナビル)
→ 血中濃度が上昇し、クッシング症候群・副腎機能抑制のリスクが高まります
→ 併用は「治療上の有益性がこれらのリスクを上回る場合に限定」されます
副作用と発生頻度
副作用 | 成人 | 小児 | 備考 |
---|---|---|---|
鼻出血・鼻刺激感 | 0.5%未満 | 0.3% | 軽度かつ一過性が多い |
不快臭 | 0.2% | 0.3% | 使用直後に感じることがある |
血中コルチゾール低下 | ― | 6.0%* | *規定外採血例を含むが基準範囲内 |
アナフィラキシー | 頻度不明 | 頻度不明 | 呼吸困難や蕁麻疹が出たらすぐに受診 |
👉 **全体の副作用発現率は、成人で0.9%・小児で1.8%**と、比較的低頻度です。
まとめ
- フルナーゼは、強力かつ安全性の高いステロイド点鼻薬
- くしゃみ・鼻水・鼻づまりを、1日2回の簡単な使用でしっかりコントロール
- 体内移行が極めて少なく、全身副作用の心配も少ない
- 抗ヒスタミン薬で効果が不十分な方にとって、有力な治療選択肢です
👉 気になる症状や他の薬との併用については、早めに医療機関へ相談しましょう。
ご案内(当院のサポート)
当院では、症状やライフスタイルに応じた点鼻薬の選び方や
正しい使い方の指導を丁寧に行っております。
市販薬で改善しない鼻の症状が続いている場合は、お気軽にご相談ください。
ご希望があれば、この内容をFAQ形式・短縮版・画像化など別形式でも展開可能です。
参考文献・出典
PMDA医薬品医療機器総合機構:フルナーゼ添付文書・インタビューフォーム
KEGG DRUG データベース:D01708 フルチカゾンプロピオン酸エステル
アレルギー診療ガイドライン(鼻アレルギー)
薬剤師向け製品基本情報、製薬企業(GSK)提供資料
医中誌・PubMedでの検索例:fluticasone nasal spray allergy rhinitis Japan
よくある質問(Q&A)
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フルナーゼの同じ系統の薬(ステロイド点鼻薬)と比べてどんな強みがありますか?
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フルナーゼは、ステロイド点鼻薬の中でも「局所作用が強く、全身への影響が少ない」ことが大きな強みです。
従来薬のベクロメタゾン(商品名:リノコートなど)に比べて約2倍の抗炎症作用がありながら、血中への吸収が非常に少ないため、
副腎抑制などの全身性副作用がほとんど報告されていません。また、28回・56回噴霧タイプを選べるため、使用頻度やライフスタイルに合わせて処方できる点も優れています。
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フルナーゼ(先発品)はいつ発売されましたか?
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英国:1991年に発売
日本:1994年に成人用が発売、小児用は2003年に発売されました。
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1か月(30日)使った場合の薬価と、自己負担額の目安は?
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▼先発品(フルナーゼ点鼻液50μg 56噴霧用)の場合
- 薬価:557円/瓶
- 使用量の目安:1日2回の使用で28日分相当
- 30日分とする場合は2本分必要 → 薬価:約1,114円
負担割合 自己負担額の目安(薬剤費のみ) 3割負担 約 330円〜340円/月 1割負担 約 110円〜120円/月 ※調剤料・技術料・院外処方の有無で実際は多少前後します。
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フルナーゼの効果はいつから出て、どれくらい持続しますか?
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- 作用発現時間:数時間~半日程度で鼻症状の改善を感じる方が多いです。
- 持続時間:通常1日2回使用で、1回の投与効果は約12時間持続します。
▶ 効果を安定させるためには、症状がある間は毎日継続して使用することが重要です。
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妊娠中にフルナーゼを使用しても大丈夫ですか?
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妊娠中の使用は「治療上の有益性が危険性を上回ると医師が判断した場合に限り可」とされています。
動物実験では他のステロイド同様に胎児への影響(奇形・発育抑制)がみられた報告もあるため、安易な使用は避け、必ず医師と相談してください。
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授乳中にフルナーゼを使用しても問題ないですか?
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授乳中に使用する際も、「薬の必要性と母乳栄養の重要性を医師が慎重に判断」した上で投与可とされています。
血中濃度が非常に低いため母乳への移行は少ないと推定されますが、長期使用や高用量使用の場合は注意が必要です。
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子どもでもフルナーゼは使えますか?何歳から?
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はい、5歳以上の小児に対して使用可能です。
小児用製剤(25μg/噴霧)で、通常は1日2回・両鼻に1回ずつ噴霧します。ただし、長期使用時には成長への影響(成長遅延など)を考慮し、定期的な身長のチェックや使用方法の指導が重要です。
※5歳未満の使用については安全性が確認されていません。
