『ビラノア』は眠くならない?花粉症・じんましんに効くって本当?
『ビラノア』は眠くならない?|
花粉症・じんましんに効くって本当?

かゆみが強くで『ビラノア』を使っています。

1日1回タイプで、効果も強く、眠気の副作用がほぼないお薬です。
ただし、空腹時に飲むことが必要です。
ビラノアはオンライン診療で処方可能です。
この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。
ビラノアとは
ビラノア®(一般名:ビラスチン)は、大鵬薬品工業が販売する第2世代(あるいは“第3世代”)の非鎮静性ヒスタミンH1受容体拮抗薬です。
1日1回20mgを空腹時に服用することで、24時間持続する抗アレルギー効果が得られます。
剤形は以下の2種類があります。
- 錠剤:48.7円/錠
- OD錠(水なしで服用可能):49.1円/錠
ビラノアの特徴
特徴 | 解説 |
---|---|
即効性 | スギ花粉症患者で、45分以内に鼻水の量が有意に減少。 |
眠気が少ない | 脳内移行率2%未満。自動車運転試験でプラセボと同等の結果。 |
飲み合わせが安全 | 代謝酵素CYPにほぼ依存せず、P糖蛋白を介した相互作用が主体。 |
1日1回でOK | 服薬回数が少なく、忙しいビジネスパーソンにも適応。 |
OD錠あり | 外出先でも水なしで服用可能。 |
効能・効果
- アレルギー性鼻炎(通年性・季節性)
- 蕁麻疹
- 皮膚疾患に伴うかゆみ(湿疹・皮膚炎・皮膚そう痒症)
有効性(臨床試験データ)
対象疾患 | 試験内容 | 主な結果 |
---|---|---|
通年性アレルギー性鼻炎 | 国内第III相・2週間・20mg/日 | 鼻症状スコアが**プラセボ比 −0.35(p=0.023)**改善。副作用発現率:2.0% |
慢性蕁麻疹 | 国内第II/III相・2週間・20mg/日 | 症状スコアが**プラセボ比 −1.52(p<0.001)**改善。副作用発現率:2.0% |
皮膚そう痒症 | 国内長期試験・52週・20mg/日 | 早期からかゆみが減少し、1年間持続。副作用発現率:2.5% |
ドライビング試験 | 健康成人・8日間・20mg/日 | 運転能力への影響なし(プラセボと差なし) |
用法・用量
- 通常成人:1日1回、ビラスチン20mgを空腹時に経口投与
⚠ 食事の影響に注意
- 食後に服用すると、血中濃度が最大約60%低下。
- 目安:食前1時間 or 食後2時間に服用。
⚠ 腎機能が低下している方
- 血中濃度が上昇する可能性があり、医師の判断が必要です。
使用できない方(禁忌)
- ビラノアまたはその成分に過敏症の既往がある方
飲み合わせに注意が必要な薬剤
区分 | 代表薬 | 影響・理由 |
---|---|---|
P糖蛋白阻害薬 | エリスロマイシン、ジルチアゼム、ケトコナゾール | ビラスチンの血中濃度が約1.3~2.9倍に上昇 |
飲料 | グレープフルーツジュース | 吸収が低下(Cmax約0.6倍) |
副作用と発生頻度
頻度 | 主な症状 |
---|---|
1%未満 | 眠気、頭痛、口渇、下痢、腹痛 |
頻度不明 | めまい、不眠、動悸、発疹、そう痒症、AST/ALT上昇など |
重大な副作用(頻度不明) | ショック、アナフィラキシー |
※多くの副作用は軽度かつ一過性ですが、異常を感じた場合は速やかに医療機関を受診してください。
まとめ
**ビラノアは、「眠気が少ない」「速く効く」「1日1回で効果が持続する」**という三拍子そろった抗ヒスタミン薬です。
こんな方におすすめです:
- 日中の集中力を落とさず花粉症を抑えたい
- かゆみで眠れない蕁麻疹や湿疹に悩んでいる
食事のタイミングや飲み合わせに注意すれば、比較的安全に使用できる薬です。用対策や薬の相互作用も含め、定期的に主治医と相談することが大切です。
参考文献・出典
ビラノア添付文書(JAPIC、PMDA)
インタビューフォーム(大鵬薬品工業)
KEGG DRUG:D09570(薬物動態や代謝経路の情報)
厚生労働省・医薬品医療機器総合機構(PMDA)公式サイト
日経DI(医療従事者向けの薬剤レビュー)
PubMed等の論文検索サイトで"bilastine"のレビュー論文
よくある質問(Q&A)
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ビラノアってどんな薬?他のアレルギー薬と何が違うの?
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ビラノアは「眠気が出にくい」のが最大の特徴です。これは、脳にほとんど移行しない設計になっているからです(脳内移行率2%未満)。
他の第2世代抗ヒスタミン薬(例:アレグラ、クラリチン)と比べても、運転試験でプラセボ(偽薬)と同等というデータがあり、日常生活への影響が少ないのが強みです。また、CYP酵素での代謝がほとんどないため、他の薬との相互作用が少なく、安心して併用しやすい点もメリットです。
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ビラノアはいつ発売されたの?
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日本では2016年9月に製造販売承認を取得し、その後薬価収載されました。
現在は大鵬薬品工業から販売されています。
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ビラノアの薬価と、30日処方時の実際の負担額は?
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ビラノアの薬価は以下の通りです(1錠あたり):
- ビラノア錠20mg:48.7円
- ビラノアOD錠20mg(水なしで飲めるタイプ):49.1円
1日1錠で30日分処方された場合の薬価総額は約1,461円(48.7円 × 30日)。
自己負担額の目安は以下の通りです:1割負担(高齢者など):約150円前後
3割負担:約440円前後
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飲んでからどのくらいで効く?効果はどのくらい続く?
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ビラノアは服用後45分以内に効果が出ることが報告されています(特に鼻水の症状に対して)。
効果の持続時間は24時間以上とされており、1日1回の服用でOKです。
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妊娠中でもビラノアは使えるの?
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妊娠中の使用は、「治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合に限り使用すること」となっています。
つまり、基本的には医師の判断が必要です。自己判断での使用は避けてください。
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授乳中に飲んでも赤ちゃんに影響ない?
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ビラノアは動物実験(ラット)で乳汁中へ移行することが報告されています。
そのため、授乳中に使用する場合は、授乳を一時中止するか、使用を控える必要があるかを医師と相談してください。
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子どもには使えるの?
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ビラノアは、小児に対する国内での臨床試験が実施されていません。
そのため、現時点では子ども(特に12歳未満)への処方は慎重に検討されるべきです。
一部海外では小児用量が設定されている国もありますが、日本では適応外使用となります。当院ではお出ししません
