手汗が止まらない…塗るだけで抑える薬「アポハイド」とは?副作用や使い方も解説

手汗が止まらない…塗るだけで抑える薬「アポハイド」とは?|
副作用や使い方も解説

手汗の薬で『アポハイドローション』を使っています。

1日1回就寝前に手に付ける薬です。

1年など長期的にも治療効果が認めれられている薬です。

アポハイドローションはオンライン診療で処方可能です。

この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。

アポハイド®ローション20%とは?

**アポハイド®ローション20%**は、
有効成分「オキシブチニン塩酸塩」を配合した、日本初の保険適用・外用治療薬です(2023年発売)。

対象は、手のひらに多量の汗をかき、学業・仕事・対人関係に支障をきたしている方
発汗そのものを抑えることを目的としています。


アポハイド®ローション20%の特徴

● ムスカリンM3受容体をブロック

エクリン汗腺にあるM3受容体を抗コリン作用で遮断。
発汗を抑える働きがあります。

● 1日1回・就寝前に塗るだけ

両手のひらに**ポンプ5押し分(約500μL)**を塗るだけのシンプルな使い方です。

● 国内試験で有効性と安全性を確認

4週間・52週間の臨床試験で、一貫した発汗量の改善が認められました。


効能・効果

原発性手掌多汗症


有効性(臨床試験データ)

試験期間患者数発汗量50%以上改善率プラセボとの差
第Ⅲ相比較試験4週144例52.8%有意差あり(p<0.001)
第Ⅲ相長期試験52週117例72.6%
  • 4週間で約半数が有効:短期的な効果を実感しやすい
  • 1年間で約7割が持続的な改善:長期でも効果が維持される

用法・用量

  • 塗布回数:1日1回(就寝前)
  • 塗布量:両手掌に対してポンプ5押し分が目安

🔸使用時のポイント

  • 塗布後は手を濡らさない
  • 翌朝、手を洗うまで眼などに触れない
  • 密封目的で手袋をしない

使用できない方(禁忌)

以下に該当する方は使用できません:

  • 閉塞隅角緑内障
  • 排尿障害を伴う前立腺肥大などの下部尿路閉塞疾患
  • 重篤な心疾患
  • 腸閉塞・麻痺性イレウス
  • 重症筋無力症
  • 本剤の成分に過敏症歴がある方

飲み合わせに注意が必要な薬

分類代表例起こり得る症状原因
抗コリン作用薬三環系抗うつ薬、フェノチアジン系薬など口渇・便秘・排尿困難抗コリン作用の増強
CYP3A4阻害薬ケトコナゾール、イトラコナゾールなど同上オキシブチニンの血中濃度上昇

※ほかの薬を服用中の方は、必ず医師にご相談ください。


副作用と発生頻度

頻度主な症状
1〜5%未満適用部位の皮膚炎、そう痒感、湿疹、皮脂欠乏症、口渇
0.1〜1%未満適用部位紅斑、皮膚剥脱、口角口唇炎
重大(頻度不明)尿閉、麻痺性イレウス、血小板減少

※副作用が現れた場合は使用を中止し、速やかに受診してください。


まとめ

アポハイド®ローション20%は、手汗に悩む方の生活の質(QOL)向上を目指す新しい外用薬です。

  • 1日1回の塗布で手軽に使え、
  • 4週目には約半数、1年では7割超の方で効果が見られました。

使用前には、禁忌や併用薬の確認を行い、正しく使うことで副作用を防げます。

参考文献・出典

『原発性局所多汗症診療ガイドライン(2015年改訂版)』

添付文書(JAPIC、PMDA)

インタビューフォーム(久光製薬)

医学論文:アポハイドの第Ⅲ相比較試験(国内データ)

よくある質問(Q&A)


アポハイド®ローション20%はどんな人に向いていますか?

手のひらの多汗が日常生活に支障をきたしている方が対象です。
とくに「書類が濡れる」「スマホやPC操作が不便」「人と手をつなぐのが恥ずかしい」といった悩みを持つ方に適しています。

この薬の同じ系統の既製薬品に対する強みは?

アポハイドは、日本で初めて「原発性手掌多汗症」へ保険適用された塗り薬です。
既存の治療法(塩化アルミニウムやイオントフォレーシス)は自由診療または通院・機器購入が必要でしたが、アポハイドは:

  • 保険診療で使用可能
  • 自宅で完結
  • 就寝前1日1回のシンプルな使い方

という利便性が大きな強みです。

アポハイドの先発薬はいつ発売されましたか?

アポハイド®ローション20%は2023年6月1日に発売されました。
それ以前に、手掌多汗症への保険適用のある外用薬は存在していませんでした。

1か月(30日)処方された場合の薬価と自己負担額の目安は?

薬価:545.8円/g

内容量:1本あたり約4.32g(=薬価約2,358円)

使用目安:1日5プッシュ(約500μL)

➡ 30日使用に必要な本数:約3-4本程度
➡ 自己負担額(3割負担想定):1本 約710円程度

※使い方や吸収量によって異なります。医師の指示に従ってください。

どれくらいで効きはじめ、効果はどのくらい続きますか?

作用発現時間:就寝前に塗布し、翌朝から効果が現れることが多いとされています

持続時間:1日1回の使用で24時間持続する設計です

継続効果:4週で約半数、52週では約7割の患者が「発汗量50%以上改善」

妊娠中でもアポハイドは使えますか?

妊娠中の使用は推奨されていません。
胎児への影響が明確に分かっておらず、妊婦・妊娠の可能性がある方は使用しないことが望ましいとされています。

授乳中にアポハイドを使っても大丈夫?

授乳中は慎重に検討が必要です。
動物実験で乳汁への移行が確認されており、
「授乳を中止する」または「薬の使用を避ける」かは、医師が治療の有益性と母乳育児のメリットを比較して判断します。

子どもにも使えますか?

12歳未満の小児を対象とした臨床試験は行われていません。
そのため、小児への使用は推奨されず、安全性や有効性は確立されていません。
必ず医師と相談してください。