咳や痰がつらい時に|ムコソルバンはどんな薬?作用・副作用・飲み方まで解説

咳や痰がつらい時に|
ムコソルバンはどんな薬?作用・副作用・飲み方まで解説

風邪で痰がでるので『ムコソルバン』を使っています。

痰切りで、カルボシステインと共によく処方いたします。

1日1錠で内服しやすい特徴や、妊娠中はこちらをお出しします。

ムコソルバン(アンブロキソール)はオンライン診療で処方可能です。

この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。

ムコソルバン(アンブロキソール塩酸塩)とは

ムコソルバン®は、有効成分「アンブロキソール塩酸塩」を含む医療用の去痰薬です。
気道分泌を促進し、痰を出しやすくすることで、「せき+痰」に悩む患者さんの呼吸を楽にします。

剤形ラインナップ

  • 錠剤(15 mg・45 mg)
  • 小児用ドライシロップ
  • 内用液

→ 年齢や症状に応じて使い分けが可能です。


ムコソルバンの特徴

三つのメカニズムで痰を排出

  • 肺表面活性物質の分泌を促進
  • 気道液を増やし、痰を希釈
  • 線毛運動を活性化し、痰を外へ運搬

吸収・代謝の特徴

  • 内服2〜4時間で血中濃度のピーク
  • 半減期は約5時間
  • 連続投与しても血中濃度の蓄積はなし

多様な剤形と価格帯

製品名種類価格(薬価)
ムコソルバン錠15mg(先発)錠剤7.7円/錠
ムコソルバンL錠45mg(先発)錠剤26.3円/錠
アンブロキソールLカプセル45mg(後発)カプセル16.1円/カプセル

効能・効果

去痰作用を必要とする以下の疾患に使用されます:

  • 急性気管支炎
  • 気管支喘息
  • 慢性気管支炎
  • 気管支拡張症
  • 肺結核
  • 塵肺症
  • 手術後の喀痰喀出困難
  • 慢性副鼻腔炎の排膿促進

臨床試験での有効性

国内953例を対象とした臨床試験(含二重盲検)での有効率:

疾患名有効率(有効以上)
急性気管支炎75.3%
気管支喘息51.5%
慢性気管支炎54.2%
気管支拡張症43.7%
肺結核43.2%
塵肺症54.1%
手術後の喀痰喀出困難41.4%
慢性副鼻腔炎45.7%

用法・用量

成人(ムコソルバン錠15mg)

  • 1回1錠(15mg)を1日3回経口投与
  • 年齢や症状に応じて増減可

小児用製剤(ドライシロップ・シロップ)

  • 年齢・体重に応じて処方医が調整

使用できない方(禁忌)

  • 本剤成分に対する過敏症の既往歴がある方

飲み合わせに注意が必要な薬

併用薬留意点
中枢性鎮咳薬(コデインなど)痰の排出効果を弱める恐れ
抗コリン薬・抗ヒスタミン薬口渇や粘度上昇により去痰作用が相殺される可能性あり
胃酸分泌抑制薬(PPIなど)重大な相互作用は報告されていないが、慎重な使用が望ましい

副作用と発生頻度

種類頻度主な症状例
重大な副作用不明ショック、アナフィラキシー、SJS(Stevens‑Johnson症候群)
消化器症状0.1–<5%胃不快感
過敏症(発疹等)<0.1%発疹、蕁麻疹
肝機能障害<0.1%AST・ALT上昇
その他頻度不明口内・上肢のしびれ、めまい

特定の背景をもつ方への注意点

  • 高齢者:生理機能が低下しているため、必要に応じて減量を検討
  • 妊婦:治療上の有益性が危険性を上回る場合のみ使用
  • 授乳婦:母乳への移行が報告されており、授乳継続の可否を検討

まとめ

ムコソルバン®(アンブロキソール塩酸塩)は、「せき+痰」の改善に効果的な去痰薬です。

  • 肺表面活性物質の分泌促進など3つの作用機序で痰を排出
  • 幅広い適応疾患に対応、小児から高齢者まで使用可能
  • 急性気管支炎での有効率は75%と高水準

副作用は少ないものの、アナフィラキシー等の重篤症状には注意が必要です。
併用薬や体質、妊娠・授乳の有無などを確認し、安全に使用することが大切です。

「咳や痰が続いてつらい」そんな時は、当院までお気軽にご相談ください。


参考文献・出典

PMDA 医薬品添付文書(ムコソルバン錠15mg)

KEGG DRUG(D01479)

インタビューフォーム(帝人ファーマ社発行)

医療用医薬品情報(JAPIC、JAPAN DRUG INFORMATION)

国内臨床成績・薬効薬理の学術論文(PubMed)

よくある質問(Q&A)


ムコソルバンと他の痰の薬(去痰薬)との違いは?どんな強みがある?

ムコソルバンの強みは「3つの作用メカニズム」を併せ持つことです。

  • 肺表面活性物質の分泌促進(痰を排出しやすくする)
  • 気道液の分泌促進(痰を希釈)
  • 線毛運動亢進(痰を気道の外へ運び出す)

これにより、単なる痰の粘度低下だけでなく、呼吸器全体のクリアランス向上に効果がある点が特徴です。
他の去痰薬(例:L-カルボシステイン、エチルシステインなど)と比較して、痰の動きそのものを助ける点で優れているとされています。

ムコソルバン(アンブロキソール塩酸塩)の発売はいつ?

ムコソルバン錠(15mg・帝人ファーマ)は1985年に日本で承認・販売開始されました。
現在も先発品として使用されており、複数の後発品も存在しています。

ムコソルバンを1か月(30日)分処方された場合の薬価と自己負担額は?

代表的な剤形「ムコソルバン錠15mg」で試算すると:

  • 薬価:7.7円/錠
  • 用法:1回1錠 × 1日3回 × 30日 = 90錠
  • 総薬価:7.7円 × 90錠 = 693円

【3割負担の場合の自己負担額】
約210円程度(+調剤料)

※他剤形(L錠や内用液など)では異なります。

ムコソルバンは飲んでからどれくらいで効く?効果はどのくらい続く?

作用発現時間:服用後2〜4時間で血中濃度がピーク

持続時間半減期は約5時間、1日3回の服用が基本

効果は比較的速やかで、連続投与による薬物の蓄積はなし

妊娠中でもムコソルバンは飲めるの?

妊娠中の使用は、「治療上の有益性が危険性を上回ると医師が判断した場合」に限り使用可能です。
添付文書では動物実験に基づいた記載のみで、ヒトでの安全性は十分に確立していません。
自己判断での服用は避け、必ず医師に相談してください。

授乳中にムコソルバンを飲んでも大丈夫?母乳への影響は?

動物実験(ラット)では、アンブロキソールが母乳中に移行することが確認されています。
そのため授乳中の方は、

  • 薬の治療上の必要性
  • 母乳栄養の重要性

この2点を総合的に判断して、授乳を続けるか一時中止するかを医師と相談する必要があります。

子どもでもムコソルバンは使えるの?

はい、小児にも使用できます。
ムコソルバンは以下のような小児向け剤形が用意されています:

  • ドライシロップ1.5%
  • シロップ0.3%

ただし、年齢や体重に応じて用量調整が必要です。小児科での処方に従ってください。