コデインリン酸塩とは?咳止め・痛み止めに使う薬の効果と副作用
コデインリン酸塩とは?
咳止め・痛み止めに使う薬の効果と副作用

咳がひどくて『コデインリン酸塩』を使っています。

咳止めで強い効果がありますが、依存性もあり長期投与はしません。
コデインリン酸塩はオンライン診療で処方可能です。
この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。
コデインリン酸塩とは
コデインリン酸塩は、以下のような作用をもつ医薬品です:
- 咳を抑える(鎮咳作用)
- 痛みを和らげる(鎮痛作用)
- 激しい下痢を改善する(止瀉作用)
1832年、M. Robiquet によりモルヒネ製造時の副産物として発見され、1881年にコデインとして分離されました。
日本では1978年に「リン酸コデイン散」として登場し、薬局方改正に伴う名称変更を経て現在に至ります。
目次
主な作用と特徴
鎮咳作用
咳中枢に働きかけて咳反射を抑え、持続的な咳を鎮めます。
鎮痛作用
体内で一部がモルヒネに代謝されることで、軽度〜中等度の痛みをやわらげます。
※鎮痛力はモルヒネの約1/6程度です。
止瀉作用
腸の運動を抑制し、激しい下痢症状を改善します。
副作用リスク
- 依存症(長期使用による)
- 呼吸抑制(息切れ・呼吸困難)
- 錯乱・せん妄
- 麻痺性イレウス など
※これらの作用があるため、慎重な使用が必要です。
効能・効果(国内で承認されているもの)
- 各種呼吸器疾患における鎮咳・鎮静
- 疼痛時の鎮痛
- 激しい下痢症状の改善
※医師が必要と判断した場合に処方されます。
有効性の裏付け
コデインリン酸塩錠と他剤との生物学的同等性試験で、血中濃度や吸収速度が同等であることが確認済み。
歴史的にも広く使用されてきた成分で、確かな効果が認められています。
用法・用量(成人)
- 通常:1回20mg、1日最大60mgを経口投与
- 年齢・症状に応じて調整
- 高齢者・肝腎機能に異常がある方は減量が必要
※小児は12歳未満および一部18歳未満では使用不可(詳細は禁忌参照)
使用できない方(禁忌)
以下のいずれかに該当する場合は使用できません:
- 重篤な呼吸抑制
- 12歳未満の小児
- 扁桃摘出・アデノイド切除後の18歳未満
- 気管支喘息発作中
- 重篤な肝機能障害
- 慢性肺疾患に伴う心不全
- 痙攣状態(てんかん重積など)
- 急性アルコール中毒
- アヘンアルカロイド過敏症
- 出血性大腸炎
また、細菌性下痢のある方や他の疾患がある場合も、医師との相談が必要です。
飲み合わせに注意すべき薬
併用に注意すべき主な薬剤:
- 中枢神経抑制剤(フェノチアジン系、バルビツール酸系など)
- 吸入麻酔薬
- MAO阻害薬、三環系抗うつ薬、β遮断薬
- アルコール
- クマリン系抗凝血剤(ワルファリン)
- 抗コリン作用薬
- ナルメフェン塩酸塩水和物
市販薬との併用も注意が必要です。自己判断での併用は避けましょう。
主な副作用と頻度
重大な副作用
- 依存症(精神・身体依存)
- 呼吸抑制(呼吸の浅さ・遅さなど)
- 錯乱・せん妄
- 無気肺・気管支けいれん・喉頭浮腫
- 麻痺性イレウス・中毒性巨大結腸
その他の副作用(頻度不明)
- めまい、眠気
- 悪心、嘔吐、便秘
- 発疹、そう痒感、排尿障害 など
症状が出た場合は、すぐに医師へ相談を。
まとめ:使用上の注意点
コデインリン酸塩は有効性の高い医薬品ですが、使用制限や副作用リスクも高いため慎重な管理が必要です。
- 医師の指示通りに正しく使用する
- アルコールや他の鎮静系薬との併用を避ける
- 長期連用は避ける
- 副作用が疑われる場合はすぐ受診する
本記事が、コデインリン酸塩に関する理解を深める手助けになれば幸いです。
不安な点は、遠慮なく医師にご相談ください。
参考文献・出典
PMDA医薬品医療機器総合機構:添付文書・審査報告書
KEGG DRUG(D02101)
医中誌・PubMed(「codeine phosphate」「pregnancy」「dependence」などで検索)
日本中毒情報センター(過量投与や依存に関する情報)
よくある質問(Q&A)
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コデインリン酸塩ってどんな薬?どんなときに使うの?
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咳が止まらないとき、痛みがあるとき、激しい下痢が続くときなどに処方される医薬品です。中枢に働いて咳を抑えるほか、体内でモルヒネに変わって痛みを和らげる作用もあります。下痢の改善にも効果があります。
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この薬の同じ系統の薬に比べて、コデインリン酸塩の強みは?
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コデインは**1つの成分で3つの効果(咳止め・鎮痛・止瀉)**を持つ点が最大の特徴です。他の鎮咳薬(例えばデキストロメトルファン)には痛みや下痢への効果は期待できません。
また、長年の使用実績があり、一定の有効性と安全性が確認されている点も強みです。
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コデインリン酸塩の先発薬はいつ発売されたの?
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日本国内では、1978年に「リン酸コデイン散」として発売されました。
長年にわたり使用されてきた歴史ある医薬品です。
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1か月(30日)分を処方された場合の薬価や実際の負担額は?
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(例:錠剤で1日3回投与と仮定)
- コデインリン酸塩錠5mg「シオエ」:10.4円/錠
- 1日3回 × 30日 = 90錠 → 936円(薬価)
- 自己負担3割の場合:約280円程度
※処方料・調剤料などは別途かかります。剤形や投与量で異なるため、実際の金額は医療機関でご確認ください。
※ただし長期投与は致しません。
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コデインの効果はどれくらいで出て、どのくらい続くの?
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効果発現までの時間(Tmax):約1.25時間
効果の持続時間(T1/2):約2.5時間
ただし、症状や体質により個人差があります。痛みや咳が続く場合は、医師と相談のうえ、投与間隔を調整することもあります。
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妊娠中にコデインリン酸塩は使えるの?
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基本的には使用は避けるべき薬です。
- 妊娠中に使用した場合、動物実験で奇形の報告あり
- 分娩前の投与で新生児に退薬症候(神経過敏・不眠など)が起きることがある
- 分娩時の投与で新生児の呼吸抑制が報告されています
治療上どうしても必要と医師が判断した場合のみ使用されます。
当院ではお出ししません。
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授乳中にコデインは飲んでも大丈夫?
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授乳中の使用は禁止されています。
- コデインは母乳中に移行しやすく、**乳児でモルヒネ中毒(呼吸困難、傾眠など)**が起こることがあります。
- 特に「CYP2D6活性が高い母親(ウルトララピッド・メタボライザー)」では、母乳中のモルヒネ濃度が高くなり危険です。
授乳中の方は、必ず事前に医師に相談してください。
当院ではお出ししません。
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子どもに使ってもいいの?
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12歳未満の小児には使用できません。
また、以下のケースでも投与できません:- 扁桃摘出・アデノイド切除後で18歳未満の鎮痛目的使用
- 肥満、重度の肺疾患、睡眠時無呼吸症候群を伴う18歳未満の子ども
いずれも重篤な呼吸抑制のリスクがあるため禁忌となっています。
