タリージェってどんな薬?神経のしびれやピリピリした痛みに使う新しい薬とは
タリージェってどんな薬?
神経のしびれやピリピリした痛みに使う新しい薬とは

神経の痛みで『タリージェ』を使っています。

神経の痛みに効く薬で、リリカで副作用が出る方に代わりに処方します。
新しい薬ですのでやや高価です。
タリージェはオンライン診療で処方可能です。
この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。
ミロガバリン(タリージェ)とは
ミロガバリンは「タリージェ」という製品名で処方される神経障害性疼痛の治療薬です。
神経障害性疼痛とは、神経の損傷や疾患が原因で起こる痛みで、以下のような疾患に伴って生じます。
- 糖尿病による末梢神経障害(糖尿病性末梢神経障害性疼痛)
- 帯状疱疹後神経痛
- 脊髄損傷後の痛み
- 脳卒中後の痛み
タリージェは**2019年に「末梢性神経障害性疼痛」**として承認され、2022年には「神経障害性疼痛」全般に適応が拡大されました。
ミロガバリン(タリージェ)の特徴
鎮痛効果のしくみ
ミロガバリンは電位依存性カルシウムチャネルの「α2δサブユニット」に結合し、神経の興奮を抑制。
その結果、神経由来のしつこい痛みを軽減するとされています。
高齢者や嚥下障害への配慮
服用しやすさに配慮し、通常の錠剤に加えて「口腔内崩壊錠(OD錠)」も開発されています。
OD錠は唾液で溶けるため、水なしでも服用可能で、嚥下が難しい方にも適しています。
中枢性神経障害性疼痛にも適応
糖尿病性末梢神経障害性疼痛や帯状疱疹後神経痛だけでなく、
脊髄損傷後の痛みや脳卒中後の痛みなど、中枢性神経障害性疼痛にも使用可能です。
効能・効果
神経障害性疼痛(末梢性・中枢性を含む)
具体的な適応疾患:
- 糖尿病性末梢神経障害性疼痛
- 帯状疱疹後神経痛
- 脊髄損傷後神経痛
- 脳卒中後疼痛
- パーキンソン病による中枢性神経障害性疼痛 など
有効性(臨床試験結果)
末梢性神経障害性疼痛への効果
日本を含むアジアでの第III相試験では、
プラセボ群と比較してタリージェ投与群で痛みのスコアが有意に改善。
1週間目から改善効果が見られ、長期投与でも効果は持続されました。
中枢性神経障害性疼痛への効果
脊髄損傷後神経痛を対象とした試験でも有意な鎮痛効果を確認。
長期投与でも安全性に問題は少なく、効果は維持されました。
用法・用量
通常の服用方法
- 初期用量:1回5mgを1日2回から開始
- 1週間以上の間隔を空けて増量
- 一般的な維持量:1回10~15mgを1日2回
腎機能が低下している場合
- クレアチニンクリアランス値に基づき、投与量や間隔を調節
- 中等度・重度の場合、さらに減量されることがあります
使用できない方(禁忌)
- 本剤の成分に対し過敏症の既往がある方
※その他のケースについては、医師の判断に従ってください。
飲み合わせに注意が必要な薬
以下の薬剤と併用すると、血中濃度の上昇や副作用リスクの増加が懸念されます。
- プロベネシド
- シメチジン
- ロラゼパムなどの中枢神経抑制薬
- アルコール(飲酒)
※必ず、服用中の薬を医師または薬剤師に申告してください。
主な副作用とその頻度
よく見られる副作用
- めまい
- 傾眠(強い眠気)
稀だが注意が必要な副作用
- 意識消失
- 肝機能・腎機能障害
- 体重増加、浮腫(むくみ)
- 視覚障害(霧視・複視)
副作用は投与量が多くなるほど増える傾向があり、
高齢者は転倒リスクがあるため、家族のサポートが重要です。
まとめ
ミロガバリン(タリージェ)は、神経由来のしつこい痛みに対して開発された新しい治療薬です。
中枢性・末梢性の神経障害性疼痛に対応できる点が大きな特長です。
✅ 鎮痛効果
神経の興奮を抑えて痛みを軽減
✅ 安全性
眠気・めまいなどに注意が必要
✅ 服用しやすさ
飲み込みにくい方でも使いやすい「OD錠」あり
✅ 腎機能障害に対応
投与量を調節することで使用可能
神経障害性疼痛は日常生活の質(QOL)を大きく下げるつらい痛みです。
原因疾患の治療と併せて、痛みのコントロールを行うことが大切です。
気になる症状があれば、医師や薬剤師にご相談ください。
参考文献・出典
「タリージェ適正使用ガイド(医療従事者向け)」
「患者向け医薬品ガイド(厚労省・PMDA)」
「インタビューフォーム(第一三共)」
医薬品添付文書(PMDAまたはJAPIC)
よくある質問(Q&A)
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タリージェってどんな痛みに使うの?
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タリージェは、神経が傷ついたことで起きる「しびれ」や「ピリピリする痛み」に使われる薬です。
糖尿病が原因の神経痛、帯状疱疹の後の痛み、脊髄損傷・脳卒中・パーキンソン病による痛みなど、神経障害性の痛みに幅広く使われます。
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タリージェの同じ系統の薬と比べた強みは?
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同じ「α2δリガンド系」の薬であるプレガバリン(リリカ)と比べて、タリージェは副作用(特に眠気やめまい)が比較的少ない傾向があります。また、作用が持続しやすく、1日2回の服用で済むのもメリットです。
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タリージェはいつから発売されたの?
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日本では2019年に「末梢性神経障害性疼痛」に対して承認されました。
その後、2022年に「中枢性神経障害性疼痛」まで適応が拡大されています。
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タリージェの1か月分の薬価はいくら?自己負担の目安は?
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薬価(先発品):
- タリージェ15mg錠:154.8円/錠
- 1日2回(30日間)で 約9,288円
自己負担額の目安(3割負担の場合):
約2,786円/月(薬剤費のみ・処方料等は別)
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タリージェの効果はどのくらいで出て、どれくらい続く?
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服用後1時間ほどで血中濃度がピークに達します。
多くの人は数日〜1週間程度で痛みの軽減を実感し始めます。
効果は1回の服用で約12時間持続し、朝・夜の1日2回服用で安定した効果が見込まれます。
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タリージェは妊娠中に使える?
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基本的には避けるべき薬です。
動物実験では胎盤を通過することが確認されており、妊娠中の使用は「治療上の有益性が危険性を上回る場合のみ」とされています。
自己判断せず、必ず医師と相談してください。当院ではお出ししません。
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授乳中にタリージェは使って大丈夫?
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タリージェは母乳に移行する可能性がある薬です。
使用する場合は、「授乳を中止する」または「母乳を続けたい場合は薬の使用を避ける」など、医師と慎重に相談のうえ判断する必要があります。当院ではお出ししません。
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タリージェは子どもにも使える?
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現在のところ、小児への使用は認められていません。
臨床試験も実施されていないため、子どもに対する効果や安全性は確認されていません。
