ジヒドロコデインは咳止め?痛み止め?下痢にも効く薬の使い方と注意点
ジヒドロコデインは咳止め?痛み止め?
下痢にも効く薬の使い方と注意点

咳がひどくて『ジヒドロコデイン』を使っています。

咳止めの中でも効果が強く、麻薬に分類されます。
副作用も強く、咳ので初めには処方されません。
ジヒドロコデインはオンライン診療で処方可能です。
この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。
ジヒドロコデインリン酸塩とは
ジヒドロコデインリン酸塩は、コデイン系(モルヒナン系)に分類される医療用医薬品です。
主に以下の目的で使用されます:
- 咳を抑える(鎮咳)
- 痛みを和らげる(鎮痛)
- 激しい下痢を改善する(止瀉)
1911年にコデインの構造を化学的に変化させて初めて合成された、歴史ある成分です。
日本では劇薬・麻薬に指定されており、医師の処方が必要です。
ジヒドロコデインリン酸塩の特徴
強い鎮咳作用
咳の原因である咳中枢に作用し、コデインの約1.4倍の効果があるとされています。
鎮痛効果もあり
オピオイド系に分類され、軽度〜中等度の痛みに使われます。
下痢症状の改善
腸の動きを抑え、激しい下痢を緩和します。
依存性のリスク
他のオピオイドと同様、長期間の使用で依存や耐性が生じる可能性があります。
主に肝臓で代謝
UGT2B7、UGT2B4、CYP3A4、CYP2D6で代謝されます。
中でも**CYP2D6の活性が高い方(超速代謝者)**では、副作用や効果が強く出ることがあります。
効能・効果
- 各種呼吸器疾患における鎮咳・鎮静
- 中等度の疼痛に対する鎮痛
- 激しい下痢症状の改善
長年の使用実績があり、臨床研究でも高い効果が示されています。
用法・用量
- 通常、成人には1回10mg、1日30mgを経口投与します。
- 例:ジヒドロコデインリン酸塩散10%「第一三共」の場合
→ 1回0.1g、1日0.3g(有効成分として)
※症状・年齢に応じて増減されます。
特に注意が必要なケース
高齢者、肝機能・腎機能障害がある方には低用量から慎重に投与されます。
使用できない方(禁忌)
以下のような方は原則使用できません:
- 重篤な呼吸抑制がある方
- 12歳未満の小児
- 扁桃摘出術やアデノイド切除術後の18歳未満
- 気管支喘息発作中の方
- 重度の肝機能障害、心不全、痙攣状態(てんかんなど)
- 急性アルコール中毒
- アヘン系アレルギーをお持ちの方
- 出血性大腸炎やO157などの重篤な細菌性下痢がある方
- 肥満・閉塞性睡眠時無呼吸症候群のある18歳未満の方
飲み合わせに注意が必要な薬
以下の薬と併用することで副作用が強まるおそれがあります:
- 中枢神経抑制薬(フェノチアジン系、バルビツール酸系など)
- MAO阻害薬(三環系抗うつ薬、β遮断薬含む)
- アルコール(※併用厳禁)
- クマリン系抗凝血剤(ワルファリン)
- 抗コリン薬(重い便秘や尿貯留)
- ナルメフェン塩酸塩水和物(薬効を減弱)
副作用と発生頻度
主な重大な副作用
- 呼吸抑制(息切れ、呼吸の乱れなど)
- 依存性(中止時に不安、不眠、下痢などの退薬症状)
- 錯乱・せん妄(思考の混乱や幻覚)
- 腸の重い障害(麻痺性イレウス・中毒性巨大結腸)
その他の副作用(頻度不明)
- 消化器:悪心、嘔吐、便秘
- 精神神経:眠気、めまい、視調節障害、発汗
- 過敏症:発疹、かゆみ
- 泌尿器:排尿障害
- 循環器:不整脈、血圧の変動、顔面の紅潮
※少しでも異変を感じた場合は、自己判断で中止せずに医師または薬剤師に相談してください。
まとめ
ジヒドロコデインリン酸塩は、咳・痛み・激しい下痢に対応する効果的な薬ですが、
呼吸抑制や依存性など重い副作用のリスクもあるため、使用には細心の注意が必要です。
とくに小児・高齢者・妊娠中や授乳中の方は慎重に扱われます。
処方通りに使用し、不安なことがあればすぐに医療機関へ相談しましょう。せず医師に相談することが大切です。
参考文献・出典
【PMDA】医療用医薬品添付文書(https://www.pmda.go.jp)
【KEGG DRUG】薬効・化学構造情報(https://www.genome.jp/kegg/)
日本薬剤師会「くすりのしおり」なども有用です。
よくある質問(Q&A)
-
ジヒドロコデインはどんなときに使われる薬?
-
ジヒドロコデインリン酸塩は、咳がひどいとき、痛みがつらいとき、激しい下痢が続くときなどに使われる薬です。
咳止め(鎮咳)、痛み止め(鎮痛)、下痢止め(止瀉)として、医師の判断で処方されます。
-
同じような薬の中で、ジヒドロコデインの強みは?
-
ジヒドロコデインは、同じモルヒナン系(コデイン系)鎮咳薬の中でも**鎮咳効果が高い(コデインの約1.4倍)**とされています。
さらに、咳・痛み・下痢の3つに効果がある点も特徴で、症状が複合している場合に選ばれやすい薬です。
-
ジヒドロコデインの先発薬はいつから使われているの?
-
1911年に初めて合成され、1913年には咳止めとして臨床使用が始まりました。
日本でも長年、医療現場で使用されてきた歴史のある薬です。
-
1か月(30日)処方されたときの薬価と自己負担の目安は?
-
例えば、ジヒドロコデインリン酸塩散10%「第一三共」の場合:
- 薬価:137.9円/g
- 1日0.3g(=30mg)使用時 → 30日分で 約1,241円(薬価合計)
- 自己負担(3割)の場合 → 約370円前後
※薬局調剤料などを含めると、実際の支払額はやや増える可能性があります。
-
効果はどれくらいで出る?どのくらい続く?
-
作用発現時間は服用後30分〜1時間以内とされ、
効果の持続時間は4〜6時間程度が目安です。
体質や症状により変動するため、医師の指示に従って服用してください。
-
妊娠中でも使える薬ですか?
-
妊娠中は原則使用を避けます。
やむを得ない場合にのみ、医師がリスクと効果を慎重に判断して処方します。
特に出産直前に使用すると、新生児に退薬症状や呼吸抑制が出るリスクがあります。当院ではお出ししません。
-
授乳中に服用しても大丈夫?
-
授乳中は使用できません。
ジヒドロコデインは母乳に移行し、乳児にモルヒネ中毒(呼吸困難・傾眠・哺乳障害など)を起こす可能性があります。
服用中は授乳を中断する必要があります。当院ではお出ししません。
-
子どもでも使える薬ですか?
-
12歳未満の子どもには使用できません。
海外では、呼吸抑制による重篤な事故(死亡例を含む)も報告されています。
また、肥満や睡眠時無呼吸症候群を持つ18歳未満も、呼吸抑制リスクがあるため禁忌とされています。
-
副作用はありますか?
-
あります。とくに注意すべき副作用には以下があります:
- 呼吸抑制(最も重篤)
- 依存性(長期使用時)
- 錯乱・せん妄
- 麻痺性イレウス・中毒性巨大結腸
その他、便秘・眠気・発汗・排尿障害・めまいなども報告されています。
異常を感じた場合はすぐに医師に相談しましょう。
