サインバルタってどんな薬?うつや痛みに使われる理由と注意点

サインバルタってどんな薬?
うつや痛みに使われる理由と注意点

腰痛で『サインバルタ』を処方されました。

うつ病のお薬ですが、痛みにも処方できます。

初めに処方されず、他の鎮痛剤と併用して使うことが多いです。

サインバルタはオンライン診療で処方可能です。

この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。

サインバルタ®(デュロキセチン)とは

サインバルタ®(一般名:デュロキセチン)は、**セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤(SNRI)**に分類される抗うつ薬です。アメリカのイーライリリー社で開発され、日本では塩野義製薬と共同開発が行われました。

現在は「うつ病・うつ状態」に加え、以下のような慢性的な痛みにも使用されます。

  • 糖尿病性神経障害に伴う痛み
  • 線維筋痛症
  • 慢性腰痛症
  • 変形性関節症

サインバルタ®の主な特徴

脳内物質のバランスを整える

セロトニンやノルアドレナリンの働きを高め、抑うつや不安、痛みの感受性を改善します。

痛みを抑える作用

中枢神経を通じて痛みの伝達を調整し、鎮痛効果を発揮します。

1日1回の服用

朝食後に1回服用するだけで効果が持続し、飲み忘れ防止にもつながります。


効能・効果(日本で承認された適応症)

  • うつ病・うつ状態
  • 糖尿病性神経障害に伴う疼痛
  • 線維筋痛症に伴う疼痛
  • 慢性腰痛症に伴う疼痛
  • 変形性関節症に伴う疼痛

有効性(臨床試験によるエビデンス)

うつ病・うつ状態

6〜52週の試験で、HAM-Dスコアなどが有意に改善。

糖尿病性神経障害の痛み

12週間のプラセボ比較試験で効果を確認。長期使用でも持続的に有効でした。

その他の慢性痛(線維筋痛症・腰痛・関節症)

14週前後の試験で痛みスコアが改善され、長期使用でも効果が継続しました。


用法・用量

うつ病・糖尿病性神経障害の疼痛

  • 初回:1日20mg(朝食後)
  • 通常量:1日40mg
  • 必要に応じて最大60mgまで増量可能

線維筋痛症・慢性腰痛・変形性関節症の疼痛

  • 初回:1日20mg
  • 増量:1週間以上の間隔を空けて60mgまで
  • 通常量:1日60mg(朝食後)

※自己判断での増減は避け、必ず医師の指示に従ってください。


使用できない方(禁忌)

以下の条件に該当する方は使用できません。

  • デュロキセチン成分にアレルギーのある方
  • MAO阻害薬を服用中、または中止後2週間以内の方
  • 重度の肝機能・腎機能障害がある方
  • コントロール不良の閉塞隅角緑内障の方

飲み合わせに注意が必要な薬

以下の薬剤との併用に注意してください。

  • アルコール:肝機能障害や中枢神経抑制リスクが増加
  • 他の抗うつ薬・セロトニン作用薬:セロトニン症候群のリスク
  • 降圧薬(例:クロニジン):血圧に影響
  • CYP2D6に関連する薬(抗不整脈薬など):血中濃度の変動

服用中の薬がある場合は、必ず医師や薬剤師にご相談ください。


主な副作用と発生頻度

よくある副作用(5〜20%程度)

  • 悪心、便秘、口の渇き
  • 傾眠(眠気)、めまい、頭痛
  • 食欲減退

※軽度であれば継続とともに改善することもありますが、強い症状がある場合は医師へ相談を。

まれな重篤な副作用(すぐに受診が必要)

  • セロトニン症候群(発熱・震え・興奮など)
  • 悪性症候群(高熱・意識障害など)
  • 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)
  • 肝機能障害、黄疸
  • 高血圧クリーゼ、尿閉

まとめ

サインバルタ®(デュロキセチン)は、うつ症状だけでなく、慢性の痛みにも使用される薬です。
1日1回の服用で効果が得られる利便性がありますが、副作用や薬の相互作用には注意が必要です。

処方された場合は、用法・用量を守り、副作用のサインに注意を払いましょう。気になる症状があれば早めに医師や薬剤師に相談してください。


こんな方はご相談ください

  • うつ症状がなかなか改善しない
  • 長引く腰痛や関節の痛み、神経痛に悩んでいる
  • 糖尿病による足のしびれや痛みが続いている

当院では、薬の服用だけでなく生活面のサポートも含め、患者さん一人ひとりに合った治療をご提案しています。
お気軽にご相談ください。です。

参考文献・出典

厚生労働省「未承認薬・適応外薬検討会」資料(線維筋痛症適応時)

PMDA 医薬品医療機器総合機構 添付文書・インタビューフォーム

KEGG DRUG データベース

日本神経精神薬理学会のガイドライン

よくある質問(Q&A)

サインバルタはどんな人に使われる薬ですか?

主に「うつ病・うつ状態」や「慢性の痛み(神経痛や関節痛など)」でお悩みの方に処方されます。具体的には以下のようなケースで使われます。

原因がわからない全身の痛み(線維筋痛症)

気分の落ち込みややる気が出ない

糖尿病による足の痛みやしびれ

長引く腰痛、関節痛(変形性関節症)

この薬の同じ系統の薬(SNRI)と比べた強みは?

日本で使われているSNRIの中で、唯一「痛み」に対する複数の効能(糖尿病性神経障害・線維筋痛症・慢性腰痛・変形性関節症)を持つ点が強みです。
また、朝1回の服用で済む利便性や、抗うつ作用と鎮痛作用を併せ持つバランスが特徴です。

サインバルタの発売年はいつ?

  • アメリカ(FDA承認):2004年
  • 日本国内(うつ病・うつ状態で承認):2010年1月
  • その後、慢性疼痛への適応追加:2012年~2016年に順次承認

サインバルタを30日分処方された場合の薬価と自己負担額は?

2024年現在の薬価に基づく概算)

用量1カプセル薬価30日分薬価(60mg/日)自己負担額(3割負担)
サインバルタ30mg(先発品)93.1円5,586円約1,680円
後発品(デュロキセチン「アメル」など)約34.6円2,076円約620円

※実際の支払額は処方料・調剤料を含むため、多少前後します。

服用してから効果が出るまでどれくらいかかりますか?効果はどのくらい持続しますか?

抗うつ作用:1〜2週間で効果を感じ始め、4〜6週で安定してくることが多いです。

鎮痛作用:早ければ1週間、平均して2週間程度で痛みの軽減が見られます。

持続時間:血中濃度は約12〜15時間持続しますが、1日1回の服用で十分な効果が保たれます。

妊娠中にサインバルタは飲めますか?

妊娠中は原則として慎重投与です。
特に妊娠末期に使用すると、生まれた赤ちゃんに呼吸障害や哺乳障害などの離脱症状が起こる可能性が報告されています。

自己判断での継続・中止は避け、産婦人科と必ず相談を。

当院ではお出ししません。

授乳中にサインバルタを使っても大丈夫ですか?

サインバルタは母乳中に移行することが報告されていますが、その量は微量(母体の1/10,000程度)とされています。

ただし、安全性が完全に確立されているわけではないため、授乳継続の可否は医師と相談して慎重に判断する必要があります。

当院ではお出ししません。

子どもにサインバルタは使えますか?

原則として小児(18歳未満)への使用は推奨されていません
海外の臨床試験で十分な効果が確認できず、副作用リスクも懸念されているためです。

当院ではお出ししません。