腰や首の痛みに出される「テルネリン」って大丈夫?副作用や飲み合わせに注意

腰や首の痛みに出される「テルネリン」って大丈夫?
副作用や飲み合わせに注意

肩こりで『テルネリン』を内服しています。

中枢性のアドレナリンα2作動効果により筋緊張の改善させる薬です。

脳性麻痺などにも使用されます。

テルネリンはオンライン診療で処方可能です。

この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。

チザニジン塩酸塩(テルネリン)とは

チザニジン塩酸塩は、筋肉のこわばりや過度な緊張を和らげる目的で使用される「筋弛緩薬」です。
日本ではテルネリンという商品名で広く知られており、後発品(ジェネリック)も複数あります。

主な作用

中枢神経(脊髄やその上位)に作用し、筋肉の異常な緊張を抑えます。これにより、痛みやつっぱり感を軽減します。


チザニジン塩酸塩(テルネリン)の特徴

  • 中枢性筋弛緩薬:脳・脊髄に働きかけるタイプ
  • 服用形態
    • 錠剤(1mg)
    • 顆粒(0.2%)
  • 適応疾患が広い:筋緊張だけでなく、脳性麻痺などによる痙性麻痺にも使われます
  • 腎排泄主体:腎機能が低下している高齢者などでは、作用が強く出ることがあります

効能・効果

筋緊張の改善

以下のような痛みをともなう筋緊張状態に対して使用されます:

  • 頸肩腕症候群
  • 腰痛症

痙性麻痺の緩和

脳や脊髄の病気による「痙縮(けいしゅく)」をやわらげる目的でも用いられます:

  • 脳血管障害
  • 痙性脊髄麻痺
  • 頸部脊椎症
  • 脳性麻痺(小児)
  • 脊髄損傷、頭部外傷の後遺症
  • 脊髄小脳変性症
  • 多発性硬化症
  • 筋萎縮性側索硬化症(ALS)

有効性(有効性試験等)

筋緊張状態の改善に対する試験結果

  • 改善率(中等度以上):55.8%
  • 副作用発現率:6.7%
  • 主な副作用:眠気・胃不快感・めまい・発疹など

痙性麻痺に対する試験結果

  • 改善率(中等度以上):32.1%
  • 副作用発現率:20.7%
  • 主な副作用:眠気・口渇・脱力感・倦怠感など

※ いずれの試験でも、2週間以上の服用で有用性が確認されています。


用法・用量

筋緊張状態

  • 通常:1回1mg(1日3回)を食後に服用
  • 増減可能:年齢や症状に応じて調整

痙性麻痺

  • 開始:1日3mg(1回1mg×3回)
  • 漸増:最大1日9mgまで調整可能

増量は医師の指示に従い段階的に行うことが基本です。


使用できない方(禁忌)

以下に該当する場合、チザニジンは服用できません:

  • 本剤の成分にアレルギーがある方
  • フルボキサミン(ルボックスなど)シプロフロキサシン服用中の方
  • 重篤な肝障害がある方

これらに該当する場合、血中濃度の急上昇や重篤な副作用の危険性があります。


飲み合わせに注意が必要な薬

相互作用が問題となる薬剤

区分注意点
降圧剤利尿薬、血圧を下げる薬血圧低下・徐脈のリスクが上がる
中枢神経抑制剤睡眠薬、アルコールなど眠気や集中力低下が強くなる
CYP1A2阻害薬シメチジン、エノキサシン、経口避妊薬など血中濃度が上がり、副作用が出やすくなる
CYP1A2誘導薬リファンピシン、喫煙(1日10本以上)効果が弱くなる可能性がある

副作用と発生頻度

重大な副作用(頻度不明)

  • ショック症状(顔面蒼白、意識消失など)
  • 急激な血圧低下(特に高齢者や降圧剤使用中)
  • 心不全、呼吸障害、肝炎・黄疸など

比較的よくある副作用

  • 眠気、ふらつき、めまい
  • 口の渇き、胃部不快感、悪心、下痢
  • 倦怠感、脱力感、発疹

日常生活に支障がある場合や異常を感じた場合は、自己判断で中止せず医師に相談しましょう。


まとめ

チザニジン塩酸塩(テルネリン)は、痛みをともなう筋肉のこわばりや、痙性麻痺の症状改善に有用な薬です。
ただし、副作用や相互作用に注意が必要な薬でもあります。

安全に服用するためのポイント

  • 服用中は車の運転や危険作業を控える
  • 他に飲んでいる薬との飲み合わせに注意
  • 定期的な血液検査が必要な場合もある

ご自身に合っているかどうかは、症状・年齢・腎機能・肝機能などをふまえて医師が判断します。
不安な点があれば、遠慮なく主治医にご相談ください。

参考文献・出典

PMDA 医薬品添付文書
https://www.pmda.go.jp

KEGG DRUG:チザニジン塩酸塩 D00776

インタビューフォーム(サンファーマ提供)

よくある質問(Q&A)

テルネリン(チザニジン)って、他の筋弛緩薬と何が違うの?

テルネリン(チザニジン)は、中枢性アドレナリンα2受容体作動薬という特殊な作用機序を持つ筋弛緩薬です。他の筋弛緩薬(例:エペリゾン、メトカルバモールなど)と比べて以下の点が特徴です:

  • 脊髄・脳幹に直接作用し、痙縮(けいしゅく)に対しても有効
  • γ運動ニューロンの抑制作用により、筋紡錘の感受性を低下させる
  • 慢性的な神経疾患(脳卒中後のこわばりや多発性硬化症など)にも適応がある

つまり、単なる肩こり・腰痛に加え、神経系の病気による筋のこわばりにも効果がある点が強みです。

テルネリンはいつから使われている薬なの?

テルネリンは1984年にスイスで初めて発売され、日本では1988年に錠剤(1mg)が承認されました。顆粒剤(0.2%)はその後の1994年に承認されています。

テルネリンの薬価はいくら?自己負担額の目安は?

2024年時点でのテルネリンの薬価(保険適用・1日3回服用を想定):

  • テルネリン錠 1mg(先発品):8.1円/錠 → 1日3錠で 24.3円/日
  • テルネリン顆粒 0.2%:18.1円/g → 通常1回0.5g使用として 27.15円/日

【30日分の目安負担額(3割負担)】

  • 錠剤:約 220〜250円前後
  • 顆粒:約 250〜300円前後

※処方料・調剤料・薬局ごとの差で上下します。

テルネリンはどのくらいで効き始める?効果はどれくらい続くの?

テルネリン(チザニジン)の薬物動態によると:

  • 効果が出るまでの時間(Tmax):錠剤で約1時間
  • 作用時間(半減期):約1.5時間

ただし、効果持続感はもう少し長く、1日3回の定期服用で安定した効果が出ます。即効性はそこまで強くなく、数日~1週間程度で徐々に効いてくるイメージです。

テルネリンは妊娠中でも使えるの?胎児への影響は?

妊娠中は慎重投与です。
添付文書では「治療上の有益性が危険性を上回る場合のみ使用」とされています。

  • ラット実験では、高用量で胎児の奇形(脳ヘルニア、小眼球)、出生時死亡率の上昇が報告されています。
  • 人での安全性は確立していません。

当院ではお出ししません。

授乳中にテルネリンを使っても大丈夫?

授乳中の使用は慎重に判断されます。

  • 動物実験では母乳への移行が確認されています。
  • 人での明確なデータは少なく、安全性は不明です。

当院ではお出ししません。

子どもにもテルネリンって使えるの?

小児への使用は基本的に避けられます。

  • 日本では小児への臨床試験が行われていないため、添付文書上も使用は推奨されていません。
  • 小児に対する安全性・効果が確認されておらず、自己判断での使用は厳禁です。