ボルタレン錠ってどんな薬?痛み止めとしての効果や副作用をわかりやすく解説
ボルタレン錠ってどんな薬?
痛み止めとしての効果や副作用をわかりやすく解説

腰痛で『ボルタレン錠』を使っています。

ロキソニンで効かないときに処方する効果がが高いお薬です。
副作用も強く、乱用は禁止です。
ボルタレン錠はオンライン診療で処方可能です。
この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。
ジクロフェナクナトリウム(ボルタレン錠)とは
ジクロフェナクナトリウムは、1965年にスイスの製薬企業(当時CIBA-GEIGY、現ノバルティス ファーマ)で開発された非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs)の一種です。
日本では1974年に「ボルタレン錠」として世界に先駆けて発売され、その後は欧米を含め140ヵ国以上(2022年1月時点)で承認・使用されています。
「痛み」「炎症」「発熱」を抑える効果があり、インドメタシンと並ぶ高い鎮痛効果を持つ薬です。
ジクロフェナクナトリウムの主な特徴
✅ 優れた鎮痛・抗炎症・解熱作用
- フェニル酢酸誘導体に分類されるNSAIDs。
- 副腎皮質ホルモンや他のNSAIDsとは異なる構造。
✅ 速効性が高い
- 投与後30分以内に鎮痛効果が出現。
✅ 幅広い適応疾患
- 関節リウマチや変形性関節症などの慢性疾患
- 急性上気道炎などの急性疾患
- 合計15の疾患に対応
✅ 使用実績が豊富
- 市販後調査で35,653例の使用データに基づき、安全性が確認。
✅ 多様な剤形
- 小さな錠剤で服用しやすく、他に坐剤、徐放カプセル、外用薬(テープ・ゲル・ローション)も存在。
効能・効果
次のような痛み・炎症・発熱の緩和に使用されます:
- 関節リウマチ、変形性関節症、脊椎症、腰痛、腱鞘炎、頸肩腕症候群、神経痛、後陣痛、骨盤内炎症、月経困難症、膀胱炎、前眼部炎症、歯痛
- 手術・抜歯後の鎮痛・消炎
- 急性上気道炎(かぜ、気管支炎など)の解熱・鎮痛
※とくに小児やインフルエンザ脳症リスクがある場合は使用に注意が必要です。
有効性を裏付けるデータ
🔬 動物実験での鎮痛・抗炎症作用
- ラットやモルモットでインドメタシン以上の効果を確認。
⏱ 速効性の確認
- 歯髄刺激による疼痛試験で、30分後に有意な効果。
📊 大規模な市販後調査
- 35,653例の臨床データで有効性・安全性が評価済み。
用法・用量
通常用量(成人)
- 1日75〜100mg(25mg錠を1日3回に分けて服用)
- 状況により調整可
頓用(必要時のみ)
- 1回25〜50mg(1〜2錠)
- 急性の痛みに対応
急性上気道炎の解熱・鎮痛
- 1回25〜50mgを頓用
- 1日2回まで、最大100mgまで
服用時の注意点
- 空腹時を避け、食後に服用
- 十分な水で服用し、食道に錠剤が残らないよう注意
使用できない方(禁忌)
以下に該当する方には原則として使用できません:
- 消化性潰瘍のある方
- 重篤な血液・腎・肝の異常がある方
- 重篤な高血圧や心不全のある方
- アスピリン喘息の方
- インフルエンザ脳炎・脳症の経過中の方
- 妊娠中または妊娠の可能性がある女性
- トリアムテレンを服用中の方
※その他、医師の判断で投与を避ける場合があります。
飲み合わせに注意が必要な薬
以下の薬剤と併用すると相互作用のリスクがあります:
- ニューキノロン系抗菌薬(レボフロキサシンなど):痙攣の恐れ
- リチウム・ジゴキシン・メトトレキサート:血中濃度上昇の可能性
- アスピリン・他のNSAIDs:胃腸障害や作用減弱
- 副腎皮質ステロイド薬:胃腸障害リスクの増加
- 降圧剤・利尿剤:効果の減弱や腎障害の恐れ
- 抗凝血薬・抗血小板薬:出血リスクの上昇
服用中の薬がある場合は、医師・薬剤師に必ず相談してください。
主な副作用と発生頻度
比較的多い副作用
- 胃腸症状(腹痛、吐き気、下痢、便秘など)
- めまい、眠気、頭痛
重大な副作用(頻度は不明)
- ショック・アナフィラキシー:血圧低下、呼吸困難など
- 消化管潰瘍・出血・穿孔
- 重篤な肝機能障害・腎機能障害
- 皮膚粘膜眼症候群(SJS)、中毒性表皮壊死融解症(TEN)
- 心筋梗塞、脳血管障害
副作用が疑われる症状が出た場合は、すぐに医療機関へ相談を。止し受診してください。
まとめ
ジクロフェナクナトリウム(ボルタレン錠)は、即効性と強力な鎮痛・抗炎症効果を兼ね備えた薬です。
しかし、消化管や心血管、肝腎機能への副作用リスクもあるため、以下の点に注意が必要です。
- 医師の指示に従った用法・用量を守る
- 長期使用や自己判断での継続使用は避ける
- 定期的な検査を受ける
- 持病・併用薬がある場合は事前に相談
痛みや炎症を素早く抑えたい場合には非常に有効な選択肢ですが、安全な使用のためには医師・薬剤師との連携が大切です。
使用方法や副作用、併用薬など気になる点があれば、自己判断せず医師に相談することが大切です。
参考文献・出典
PMDA(医薬品医療機器総合機構)添付文書検索
https://www.pmda.go.jp
→ ボルタレン錠の【添付文書】や【インタビューフォーム】が入手可能
KEGG医薬品データベース(D00904)
https://www.genome.jp/kegg/
→ 薬効分類や相互作用情報を科学的に確認可能
日本薬学会・厚労省関連資料
→ NSAIDsのリスクやガイドラインを確認できます
よくある質問(Q&A)
-
この薬(ボルタレン)の同じ系統の薬との違いや強みは?
-
ボルタレン(ジクロフェナクナトリウム)は、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の中でもフェニル酢酸系に分類され、インドメタシンに匹敵、またはそれ以上の強力な鎮痛・抗炎症作用があります。
同系統の薬と比べて坐剤・テープ・ローションなど多彩な剤形がそろっており、使い分けしやすいのもメリットです。
作用発現が非常に早く、服用後30分以内に鎮痛効果が現れるのが特長。
急性・慢性いずれの炎症にも効果的で、関節リウマチからかぜの発熱まで15種類以上の適応があります。
-
ボルタレン(ジクロフェナクナトリウム)の先発薬はいつ発売された?
-
1974年に日本で世界に先駆けて発売されました。これはスイスのCIBA-GEIGY(現ノバルティス)が開発し、日本が初の市場導入国となった珍しいケースです。
-
ボルタレンを30日間処方されたときの薬価と自己負担額は?
-
処方薬としての薬価は以下の通りです(2024年時点):
- ボルタレン錠25mg(先発品):7.3円/錠
- 1日3回(25mg×3錠)×30日=90錠 → 657円(薬価ベース)
- 後発品(例:ジクロフェナクNa錠25mg「トーワ」):5.9円/錠 → 約531円
◆ 自己負担の目安(3割負担の方)
657円 × 0.3 ≒ 約200円(1か月分)※実際の支払額は調剤料・処方料等が加わるため、500~800円程度になるケースが一般的です。
-
妊娠中にボルタレンは使える?
-
原則として使用できません(禁忌)。
- 妊娠後期に使用すると、胎児の動脈管収縮や羊水減少、心機能への悪影響が報告されています。
- また、分娩時の新生児肺高血圧や死亡例も報告されており、非常にリスクの高い薬です。
妊娠の可能性がある場合や妊活中の方も、自己判断での使用は避け、必ず医師に相談してください。
-
授乳中にボルタレンは使用できる?母乳への影響は?
-
母乳中への移行が報告されており、使用には慎重な判断が必要です。
- 医師は、治療の有益性と母乳育児のメリットを比較して判断します。
- 使用する場合は、授乳直後に服用し、次の授乳まで時間を空けるなどの工夫がされることもあります。
授乳中にボルタレンの使用を希望する場合は、医師に必ず相談し、安全な服薬管理を行ってください。
-
子どもにもボルタレンは使える?
-
原則としてウイルス性疾患の小児には使用を避けるべきとされています。
- 特にインフルエンザや水ぼうそうなどのウイルス疾患では、ライ症候群(重篤な脳症・肝障害)のリスクがあるため、使用を避けるのが一般的です。
- どうしても必要な場合は、医師が慎重に状態を観察しながら使用することになります。
小児の発熱や痛みに対しては、アセトアミノフェン(カロナール)などより安全性が高い薬が推奨されることが多いです。
