「飲みすぎ」を抑えたい方必見|セリンクロ錠の効果・使い方・副作用ガイド

「飲みすぎ」を抑えたい方必見|
セリンクロ錠の効果・使い方・副作用ガイド

減酒薬で『セリンクロ錠』に興味があります。

お酒を減らしたい方に処方する薬ですね。

セリンクロ錠はオンライン診療で処方可能です。

この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。

セリンクロ錠とは

セリンクロ錠は、アルコール依存症患者さんの「飲酒量の低減」を目的とした、日本初の内服薬です。

従来、アルコール依存症の治療は「断酒」が原則とされてきました。しかし、断酒を困難に感じる患者さんも多く、治療離脱の大きな原因となっていました。

セリンクロ錠は、このような患者さんに対し、「飲酒量を減らす」という現実的な目標を設定し、治療を支援する新しいアプローチを提供します。

有効成分「ナルメフェン」は:

  • μオピオイド受容体・δオピオイド受容体に対して拮抗薬として作用
  • κオピオイド受容体に対して部分作動薬として作用

この仕組みにより、「飲酒による快感の過剰な強化」や「飲酒をやめたときの不快感」を抑え、結果的に飲酒量の低減を促すと考えられています。


セリンクロ錠の特徴

国内初の「飲酒量低減」目的の薬

断酒が難しい患者さん向けに、飲酒量の低減を正式な治療目標とした初の薬剤です。

オピオイド受容体に作用

脳内の内因性オピオイドの働きを調整し、飲酒に伴う「快」と「不快」の感情を適切にコントロールします。

心理社会的治療との併用が前提

薬のみでは効果が十分でないため、必ず心理社会的治療(カウンセリングや行動療法)と併用します。


効能・効果

  • 対象:アルコール依存症患者
  • 効果:「飲酒量の低減」を目的とします。

原則は「断酒」ですが、患者さんの状態を踏まえ、「飲酒量低減」を適切な治療目標とする場合に使用されます。


有効性(有効性試験等)

国内第III相試験

  • 対象:677名のアルコール依存症患者
  • 方法:セリンクロ(10mg・20mg)+心理社会的治療 vs プラセボ+心理社会的治療
  • 結果:
    • 12週時点、多量飲酒日数がプラセボ群に比べ有意に減少(p<0.0001)
    • 24週まで効果が持続
  • 副作用発現率:10mg群71.2%、20mg群71.0%

長期投与試験

  • 24週間の継続投与で、飲酒量低減効果が安定的に維持されました。

用法・用量

通常の服用方法

  • 1回10mgを飲酒の1〜2時間前に経口投与
  • 1日1回まで

必要に応じた増量

  • 20mgまで増量可能(ただし1日1回まで)

特別な注意事項

  • 飲酒を開始してしまった場合:気づいた時点で直ちに服用
  • 飲酒後には服薬しない
  • 重度肝障害や腎障害のある方は、用量調整が必要

使用できない方(禁忌)

以下の方には使用できません。

  • セリンクロ成分にアレルギーがある方
  • オピオイド系薬剤(モルヒネ、フェンタニルなど)を投与中、または投与中止後1週間以内の方
  • オピオイド依存症、急性離脱症状がある方

飲み合わせに注意が必要な薬

【併用禁忌】絶対に一緒に使えない薬

  • モルヒネ、フェンタニル、オキシコドン、トラマドールなど(オピオイド系)

※ セリンクロ錠により、これらの薬の効果を減弱させたり、離脱症状を引き起こすリスクがあります。

【併用注意】注意しながら使う薬

  • コデイン、ジヒドロコデイン、ロペラミド、トリメブチン など

副作用と発生頻度

主な副作用(発生率)

症状発生率
悪心(吐き気)31.0%
浮動性めまい16.0%
傾眠(眠気)12.7%
頭痛9.0%
嘔吐8.8%
不眠症6.9%
倦怠感6.7%

その他注意すべき副作用

  • 注意力障害、不安、抑うつ、精神症状
  • 肝機能障害(AST、ALT上昇など)
  • 血圧変動(高血圧、低血圧)
  • 自殺念慮・自殺企図(まれですが報告あり)

特に精神症状気分の変動には十分な注意が必要です。異常を感じた場合はすぐに医療機関へ相談しましょう。


まとめ

セリンクロ錠は、アルコール依存症の治療における新たなアプローチとして、**「飲酒量の低減」**を目指す患者さんを支援する薬です。

  • 断酒を受け入れられない患者さんでも治療に取り組みやすくなる可能性があり
  • 心理社会的治療との併用が必須
  • 副作用や薬剤相互作用に注意が必要

もし「飲酒量を自力で減らせない」「断酒が難しい」と感じて悩んでいる方は、一人で抱え込まず、アルコール依存症に詳しい医療機関に早めに相談しましょう。らず、家族・支援者との連携やカウンセリングも併用しながら、回復への道を一歩ずつ進んでいきましょう

参考文献・出典

大塚製薬『セリンクロ錠10 mg 添付文書』(第1版, 2021)

European Medicines Agency (EMA) – Selincro® EPAR

Mann K et al. (2013) Lancet Psychiatry “Effect of as-needed nalmefene…”

よくある質問(Q&A)

セリンクロ錠って、他の“お酒を減らす薬”と比べてどんな強みがあるの?

主な強みは3つあります。

肝機能障害に比較的やさしい ─ 同じオピオイド拮抗薬ナルトレキソンに比べ、重い肝障害リスク報告が少ない。

“飲酒量の低減”を正式に目的にした日本初の薬 ─ 断酒を前提としないため、治療離脱を防ぎやすい。

1 ~ 2時間前に頓用でOK ─ 飲む日だけ服用すればよく、毎日飲まなくても済む。

セリンクロ錠はいつ発売された薬?

世界初承認(EU):2013年

日本での承認・発売:2021年(第1版添付文書改訂 2021年11月)

どのくらいで効果を感じる?

臨床試験では**治療早期(数週間以内)**から飲酒量減少が出始め、12週以降安定するケースが多いです。

1か月(30日)分の薬価と自己負担はいくら?

1日用量の想定薬価合計(30日分)自己負担(3割負担時)メモ
10 mg/日(10 mg錠×1)9,045円2,710円標準量
20 mg/日(10 mg錠×2)18,090円5,420円最大量

※実際は“飲酒する日だけ”飲む頓用投与が一般的なので、月額はこれより下がるケースが大半です。

妊娠中に飲んでも大丈夫?

当院ではお出しません。

原則は「使わない」:胎児への安全性データが不十分。

動物実験で軽度の発育遅延報告あり。