便秘薬グーフィスってどんな薬?効果や副作用をわかりやすく解説

便秘薬グーフィスってどんな薬?
効果や副作用をわかりやすく解説

便秘で『グーフィス』を処方されました。

今までの薬で効かなくなった方に処方する薬ですね。

安全性も高く、長期使用も可能です。

グーフィスはオンライン診療で処方可能です。

この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。

エロビキシバット(グーフィス®)とは

**エロビキシバット(商品名:グーフィス®)**は、世界で初めて「IBAT(回腸末端部にある胆汁酸トランスポーター)」を阻害する薬です。
2018年に「慢性便秘症(器質的疾患を除く)」の治療薬として承認されました。

ポイント

  • 新しい作用機序で排便を促進
  • 1日1回食前に内服で、自然な排便をサポート
  • EAファーマと持田製薬が共同販売

特徴

独自の作用機序

胆汁酸の再吸収を抑えることで、大腸内の胆汁酸を増やし、

  • 水分分泌の促進
  • 腸の動き(蠕動運動)の活性化

この2つの作用(Dual Action)によって排便が促されます。

吸収されにくく、体内負担が少ない

主に腸内で作用し、血中への吸収はごくわずかです。

食前1日1回で効果

基本用量は10mg/日(食前)。最大15mg/日まで調整可能です。


効能・効果

適応

  • 慢性便秘症(※器質的疾患による便秘は除く)

補足

  • 薬剤性・症候性の便秘については臨床試験なし
  • 該当する方は医師と相談の上で使用可否を検討してください

有効性

第III相試験の主な結果

排便回数の改善

  • 自発排便回数が明らかに増加(p<0.0001)

効果発現の速さ

  • 初回投与24時間以内に85.5%が排便

便の性状(硬さ)の改善

  • 第1・2週ともに便がやわらかくなる傾向(p<0.0001)

長期投与試験(52週)

  • 効果は1年を通じて安定して維持

用法・用量

  • 通常は1日1回10mgを食前に経口投与
  • 必要に応じて最大15mg/日まで増量可能

服用時の注意

  • 腹痛・下痢が現れた場合は、減量・休薬・中止を検討
  • 効果や副作用の変化は、定期的に医師と確認

使用できない方(禁忌)

以下に該当する方は使用できません

  • 本剤にアレルギーのある方
  • 腸閉塞がある、またはその疑いがある方(腫瘍・ヘルニアなど)

飲み合わせに注意が必要な薬

相互作用薬注意点
胆汁酸製剤(ウルソ、ケノデオキシコール酸)効果が弱くなる可能性
制酸剤(スクラルファート等)薬の効果を打ち消す可能性
コレスチラミン・コレスチミド胆汁酸を吸着し、効果減弱のおそれ
ジゴキシン・ダビガトラン血中濃度が上昇する可能性(P-糖蛋白質阻害)
ミダゾラム血中濃度が下がり、効果が弱まる可能性(機序不明)

副作用と発生頻度

副作用の発現率

  • 臨床試験全体で約46.3%
  • 主なものは以下の通り:
副作用発現率
腹痛23.2%
下痢14.4%
下腹部痛、腹部膨満、悪心など数%程度

注意が必要な方

  • 高齢者(生理機能が低下しやすい)
  • 妊婦・授乳婦(動物実験で胎児・乳児への影響報告あり)
  • 重度の肝障害がある方(効果が期待できない場合あり)

まとめ

**グーフィス(エロビキシバット)**は、これまでとは異なる仕組みで便秘を改善する、新しいタイプの治療薬です。
特に「従来の薬では効果が不十分だった」「自然に近い排便がしたい」と感じる方にとって、新たな選択肢となり得ます。

ただし、副作用の頻度は比較的高いため、使用開始後は体調の変化をよく観察し、医師と相談しながら使用を続けることが大切です。

参考文献・出典

添付文書(医師・薬剤師向けの正式な説明書)
PMDA 医薬品情報 で検索「グーフィス」

インタビューフォーム(開発元が出している詳細資料)
→ 医薬品医療機器総合機構(PMDA)やKEGGデータベースで閲覧可能

学術論文

J Neurogastroenterol Motil. 2018;24(1):66-76(便秘改善作用に関する国際論文)

Yakugaku Zasshi. 2016;136(12):1715-1721

よくある質問(Q&A)

グーフィスって、他の便秘薬とどう違うの?

胆汁酸の再吸収を抑える“世界初の仕組み”で便を出しやすくします。

グーフィス(エロビキシバット)は、腸の末端にあるIBATというタンパク質をブロックすることで、胆汁酸を大腸に多く流す薬です。
その結果、大腸に水分が増えて便が柔らかくなり、腸の動きも活発になって排便を促します

この“胆汁酸を使う”仕組みは、他の下剤(酸化マグネシウムやセンノシドなど)とは全く異なる新しいアプローチです。
今までの薬で効きにくかった人や、自然な排便に近づけたい人にとって、新しい選択肢になります。

グーフィスはいつから使われている薬ですか?

日本では2018年1月に承認・販売開始されました。

開発は2012年から始まり、2018年に**「慢性便秘症」の治療薬として承認**されました。
持田製薬とEAファーマが共同開発しています。

グーフィスの薬価は?1か月使ったらいくらくらい?

1錠あたり約80円。1か月分で自己負担はおよそ720〜2,400円ほどです。

薬価:80.2円/錠
1日1錠(10mg)を30日飲んだ場合:80.2円 × 30錠 = 約2,406円

  • 3割負担なら:約722円/月
  • 1割負担なら:約240円/月

※薬局での調剤料などは別途かかります。

妊娠中でもグーフィスは飲めますか?

基本的には避けた方がよい薬です。医師とよく相談してください。

動物実験では、高用量で胎児の成長や生存に影響が出たという報告があります。
そのため、別の便秘薬を使用します。

授乳中に飲んでも大丈夫?

授乳中も当院ではお出ししません

動物実験(ラット)では、薬が母乳に移行することが確認されています。
授乳への影響や乳児への影響が完全にはわかっていないません

子どもにも使える薬ですか?

子どもへの使用は認められていません。

現時点で、小児を対象にした臨床試験は行われていません。
そのため、小児に対しての有効性や安全性は不明であり、使用は推奨されていません