「出ない…」をすぐ何とかしたいときに|テレミンソフト坐薬(ビサコジル)の効果と使い方

「出ない…」をすぐ何とかしたいときに|
テレミンソフト坐薬(ビサコジル)の
効果と使い方

頑固な便秘で『テレミンソフト坐剤』を処方されました。

古くからある便秘の座薬ですね、効果まで15分など検査時にも使われます。

テレミンソフト坐剤は当院で処方可能です。

この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。

ビサコジル(テレミンソフト坐薬)とは

ビサコジルは、腸を刺激して排便を促す「刺激性下剤」の一種です。
肛門から挿入する**座薬タイプ(テレミンソフト坐薬)**は、経口摂取が難しい場面でも使いやすく、効果の発現が早い(15分から2時間など)のが特徴です。

  • 開発:1953年(Schmidtら)
  • 日本発売:1968年(テレミンソフト坐薬として承認)
  • 製造販売:EAファーマ(2mg/10mg 坐薬)

特徴:テレミンソフト坐薬の強み

✅ 大腸(結腸・直腸)に選択的に作用

  • 小腸よりも大腸を強く刺激
  • 結果として、自然に近い便通が得られる

✅ 排便反射を直接刺激

  • 腸粘膜に直接働きかけて排便を促す
  • 物理的に便を押し出す手助けとなる

✅ 腸内の水分量を保つ

  • 結腸内の水分吸収を抑え、便を柔らかくする作用

効能・効果

  • 便秘症の改善
  • 消化管検査や手術前後の腸管内容物の排出

※特に注腸造影・大腸内視鏡などの検査準備として使われることがあります。


有効性(動物実験を含む検証結果)

🧪 開発後の科学的検証(例)

作用部位実験内容結果
結腸・直腸ネコやウサギでの灌流実験大腸部位で選択的に蠕動を促進
腸粘膜ウサギ・モルモット結腸の持続的トーヌス増大(排便反射)
水分吸収ラットの腸灌流水分吸収抑制と腸内水分量増加

✅ 長期使用実績

  • 日本での発売から50年以上、便秘治療や腸管洗浄に使用
  • 現在も医療現場で定番の刺激性下剤

用法・用量(基本の使い方)

  • 成人の場合:1回10mgを肛門内に挿入
  • 頻度:1日1~2回
  • 調整:年齢・症状に応じて調整あり

※挿入後はしばらく安静にしておくと、薬剤が溶けやすく効果が出やすくなります。


使用できない方(禁忌)

以下の方は使用できません:

  • 急性腹症が疑われる方
    └ 蠕動が症状を悪化させる可能性
  • 痙攣性便秘の方
    └ 腸の過剰な収縮により症状が悪化する恐れ
  • 重症の硬結便がある方
    └ 腸への刺激がリスクになる場合あり
  • 肛門裂創・潰瘍性痔核のある方
    └ 座薬の挿入で物理的刺激を加えないように

飲み合わせに注意が必要な薬

明確な併用禁忌薬は記載されていませんが、以下には注意が必要です:

✅ 他の下剤との併用

  • 過剰な腸刺激で腹痛・下痢などのリスク

✅ 電解質異常を起こしやすい薬

  • 利尿薬、降圧薬など
    下痢や脱水でバランスが崩れやすい

他に服用中の薬がある場合は、必ず医師・薬剤師に相談を。


副作用と発生頻度

副作用の発現頻度は明示されていませんが、以下の症状に注意してください:

主な副作用

分類症状例
過敏症発疹、かゆみなど
消化器腹痛、腹部不快感、直腸炎、肛門痛など
循環器冷感、血圧低下、発汗、チアノーゼなどのショック様症状

※これらの症状が見られた場合は、すぐに使用を中止し医療機関を受診してください。


まとめ

ビサコジル(テレミンソフト坐薬)は…

  • 直接腸に働きかけて便通を促す下剤
  • 効果の発現が早く、経口が難しいときにも有用
  • 便秘や検査前後の排便コントロールに広く使われる

ただし、急性腹症など明らかな禁忌があるため、使用前には医師の指示が必要です。
副作用や他のお薬との関係も考慮し、安全に使用しましょう。

参考文献・出典

添付文書(EAファーマ/JAPIC)
 → 医師や薬剤師が参照する正式な情報

KEGG 医薬品データベース(D00245)
 → 薬の分類・作用機序・構造などが掲載

インタビューフォーム(医薬品開発時の詳細情報)
 → 薬理作用や有効性・安全性の研究内容が記載されています

PMDA 医薬品情報検索
 → 厚労省管轄。医薬品の承認・副作用情報などを網羅

よくある質問(Q&A)

この薬って他の下剤と何が違うの?

座薬ならではの「速効性」と「大腸へのピンポイント作用」が強みです。

ビサコジル(テレミンソフト坐薬)は刺激性下剤に分類されますが、特徴的なのは以下の2点です:

  • 経口でなく肛門から使えるため、飲み薬が難しいときにも使いやすい
  • 小腸ではなく、結腸・直腸に直接働くことで、排便反射をしっかり促してくれる

また、水分の吸収を抑えて便をやわらかくする効果もあるため、固くて出にくい便にも適しています。

いつからある薬なの?どれくらい実績あるの?

開発は1953年、現在の「テレミンソフト坐薬」としては1968年から販売されています。

かなり古くからある薬で、国内でも50年以上の実績があります。長年、病院や高齢者施設、妊婦さんの便秘対策としても使用されてきた「定番の下剤」です。

30日分もらった場合、薬代はいくらくらい?

1個あたり約20円。10mgを1日1回使うとして、30日で約627円(3割負担の場合)。

▼ テレミンソフト坐薬の薬価(2022年12月時点)

  • 10mg坐薬:20.9円/個
  • 仮に1日1回で30日処方
     → 薬価ベースで627円(20.9円 × 30)
     → 3割負担で約188円/月

※調剤料や診察料は別途かかります。

※毎日使用しません。頓用で使用します。

妊娠中に使っても大丈夫?

原則として「必要な場合のみ使用」、大量使用はNGです。

  • 妊娠中でもどうしても便秘がつらいときに使うことがありますが、
  • 子宮を刺激して流早産のリスクがあるため、
  • 「自己判断での使用」は避け、必ず医師の指示を受けて使うようにしてください。

また、腟と肛門は近いため、物理的刺激によって子宮が反応しやすくなることもあります。妊娠中の下剤使用は基本的に慎重に行います。

授乳中でも使っていいの?

使用は可能ですが、医師に相談のうえで判断を。

  • 現時点で、母乳中への明確な移行性は報告されていません。

子どもにもこの薬は使えるんですか?

小児に使う場合もありますが、医師の指示が必要です。

添付文書上は年齢制限が明記されていませんが、

  • 年齢や体格に応じて用量を調整する必要があるため、
  • 必ず医師の判断を受けて処方・使用する必要があります。

なお、小児向けには**より少量(2mg坐薬)**を用いるケースもあります。