便秘で酸化マグネシウム(マグミット)を出されたけど大丈夫?副作用や飲み合わせをチェック
便秘で酸化マグネシウム(マグミット)を
出されたけど大丈夫?
副作用や飲み合わせをチェック

便秘で『酸化マグネシウム』を処方されました。

古くからある便秘のお薬で、さらに胃酸を中和する作用もありますね。
マグミットは当院で処方可能です。
この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。
酸化マグネシウム(マグミット)とは?
酸化マグネシウムは、**胃酸を中和する「制酸作用」**と、**腸の動きを助ける「緩下作用」**を併せ持つ薬です。古くから日本薬局方に収載されており、長年にわたって使用されてきました。
現在は、より飲みやすく改良された錠剤「マグミット錠」が広く処方されています。
酸化マグネシウム(マグミット)の特徴
1. 刺激が少ない制酸作用
胃酸を中和して胃の不快感を和らげます。
※CO₂(二酸化炭素)を発生しないため、ガス膨満などの刺激が起こりにくいのが特長です。
2. 自然な排便を助ける緩下作用
腸内の水分量を増やして便をやわらかくし、排便を促します。慢性便秘の治療に適しています。
3. 尿路結石の予防効果
尿の性質を整えることで、シュウ酸カルシウム結石の形成を防ぎます。
4. 飲みやすい錠剤設計
口に含んだ瞬間に素早く崩れる錠剤(崩壊時間:約6〜10秒)で、粉薬特有の不快感を軽減しています。
効能・効果
以下の症状に対して使用されます。
- 制酸作用が必要な疾患
- 胃・十二指腸潰瘍
- 急性・慢性胃炎(薬剤性を含む)
- 胃酸過多、胃下垂、神経性食思不振 など
- 便秘症
- 尿路シュウ酸カルシウム結石の発生予防
有効性の根拠
- 1982年に再評価を受けた安全性と有効性の高い薬です。
- 胃酸と中和反応を起こして制酸作用を発揮。
- 腸内では水分を引き込むことで、自然な排便を促します。
- 結石予防には、シュウ酸とマグネシウムの結合による吸収抑制が一因とされています。
用法・用量(一般例)
症状や目的に応じて、以下のように服用されます。
● 制酸剤として
- 1日 0.5〜1.0g(数回に分けて服用)
● 緩下剤として(便秘改善)
- 1日 2g(食前・食後3回または就寝前1回)
● 尿路結石の予防
- 1日 0.2〜0.6g(多めの水と一緒に服用)
※年齢・体重・症状・腎機能により調整されます。
使用できない方(注意が必要な方)
以下の方は特に注意が必要です。
- 高マグネシウム血症の方
- 重度の腎機能障害がある方
- 心機能障害がある方(徐脈が悪化する可能性あり)
- 下痢のある方(症状が悪化する可能性あり)
飲み合わせに注意が必要な薬
酸化マグネシウムは、**他の薬の吸収を阻害することがあります。**代表例は以下の通りです。
● 吸収が低下する薬
- テトラサイクリン・ミノサイクリン
- シプロフロキサシン・トスフロキサシン
- リセドロン酸ナトリウム
- 鉄剤、ジゴキシン、フェキソフェナジン など
→ 1〜2時間以上あけて服用するのが基本です。
● 副作用リスクが高まる薬
- 活性型ビタミンD3製剤(高マグネシウム血症)
- カルシウム製剤、大量の牛乳(アルカローシス・高Ca血症)
- 炭酸リチウム、リオシグアト
● 本剤の作用が弱まる薬
- ファモチジン、PPI(制酸作用で緩下作用が低下)
副作用とその頻度
● 重大な副作用(頻度不明)
- 高マグネシウム血症
- 症状:呼吸抑制、意識障害、不整脈、心停止
- 初期症状:嘔吐、徐脈、筋力低下、傾眠、皮膚潮紅など
→ これらの症状が出たらすぐに服用を中止し受診を。
● その他の副作用(頻度不明)
- 下痢
- 血清マグネシウムの上昇
まとめ
酸化マグネシウム(マグミット)は、以下のような特徴を持つ信頼性の高い薬剤です。
- 胃酸をやわらげる「制酸作用」
- 自然な排便を促す「緩下作用」
- 結石予防としても有効
- 飲みやすく改良された錠剤設計
ただし、腎機能が低下している方や高齢者は副作用のリスクがあるため、定期的なモニタリングが必要です。また、他の薬との飲み合わせにも注意し、自己判断ではなく医師・薬剤師の指導に従って使用してください。
参考文献・出典
KEGG MEDICUS「酸化マグネシウム(D01167)」
各社のインタビューフォーム(マグミット製薬など)
よくある質問(Q&A)
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マグミットは他の便秘薬とどう違うの?
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自然に近い排便を促し、クセになりにくいのが特徴です。
マグミット(酸化マグネシウム)は「浸透圧性下剤」と呼ばれるタイプの便秘薬で、腸の中に水分を引き込んで便をやわらかくする働きがあります。
他の系統との比較:
分類 主な薬剤名 特徴 刺激性下剤 アローゼン、センノシド 腸を直接刺激し排便を促す。即効性があるが、腹痛・習慣性のリスクあり。 浸透圧性下剤(マグミット) 酸化マグネシウム **自然な排便を促し、腹痛が起こりにくい。**長期でも比較的使いやすい。 膨張性下剤 ポリカルボフィルCa(ポリフルなど) 腸内で膨らみ、便のかさを増やす。水分不足では逆に便秘を悪化させることも。 マグミットは特に刺激に弱い高齢者や慢性便秘の方に処方されやすい薬です。
そのため、お腹がゆるくなるのを繰り返す人や、慢性的な下痢型IBSに対して、原因にアプローチできる薬として評価されています。
また、1日1回の服用でOK、水なしでも飲めるOD錠(口腔内崩壊錠)もあるのが便利です。
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マグミット(酸化マグネシウム)はいつから使われているの?
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錠剤タイプの「マグミット錠」は2002年に発売されました。
酸化マグネシウムそのものは、日本薬局方の初版(明治時代)から記載されており、非常に古くから使われてきた成分です。
ただし、従来は粉薬(散剤)が中心で、錠剤タイプの「マグミット錠」が登場したのは2002年7月です。
その後、服用しやすさや錠剤の割れ対策の改良が重ねられ、2021年には製剤がリニューアルされました。
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マグミットの1か月分の薬代はいくら?
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マグミット錠は後発医薬品で、薬価も非常に安価です。
規格 薬価(1錠) 30日分の薬価(例) 自己負担額(3割負担) 250mg錠 5.9円 約177円(1日3錠×30日) 約53円 330mg錠 5.9円 約177円(1日3錠×30日) 約53円 ※実際の処方量・服用回数により変動します。
※診察料・処方料・調剤料は含みません。
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妊娠中にマグミットは飲んでも大丈夫?
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基本的には飲めますが、必ず医師の判断を仰ぎましょう。
酸化マグネシウムは、妊娠中の便秘にもよく処方される薬のひとつです。
- 妊娠中でも比較的安全性が高いとされています
- 刺激が少なく、子宮収縮のリスクがない
- 胎児への明確なリスク報告は今のところありません
ただし、
- 腎機能に問題がある方
- 便秘以外の症状がある方
などは、リスク評価が必要です。必ず産婦人科医に相談のうえで服用を検討しましょう。
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授乳中にマグミットを飲んでも赤ちゃんに影響ない?
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原則として使用可能です。母乳への移行も少ないと考えられています。
酸化マグネシウムは、非吸収性の薬剤で、血中移行が少ないことから、授乳中の使用も一般的です。
- 母乳への移行はごくわずか
- 赤ちゃんへの影響は報告されていません
- ただし、下痢が続くなどの副作用が出た場合は医師に相談を
授乳中の便秘はストレスがたまりやすいため、負担の少ない薬として処方されることが多い薬です。
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子どもにもこの薬は使えるんですか?
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小児にも使われますが、年齢・体重に応じて医師の調整が必要です。
酸化マグネシウムは、小児にも比較的安全に使用されます。ただし、
- 年齢や体重によって用量が調整される
- 飲み込みが難しい子どもには「細粒」が使われることもある
- 長期使用時はマグネシウム濃度の上昇に注意
医師の処方のもと、必ず定期的なチェックを受けながら使用することが推奨されます。
