下痢や便秘が続く方に|整腸剤ラックビーの特徴と注意点
下痢や便秘が続く方に|
整腸剤ラックビーの特徴と注意点

下痢のお薬で『ビフィズス菌(ラックビー)』を飲んでいます。

下痢にも便秘にも処方される整腸剤ですね。
ラックビーは当院で処方可能です。
この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。
ビフィズス菌(ラックビー)とは
**ビフィズス菌(ラックビー)は、腸内環境を整える整腸剤(生きた菌を使った薬)**です。
- 製品名:ラックビー微粒N/ラックビー錠
- 一般名:ビフィズス菌(Bifidobacterium)
- 剤形:粉末タイプ/錠剤タイプ
1956年から使用されている、実績のある整腸剤です。
ラックビーの特徴
✅ 生きたビフィズス菌をそのまま服用
- ビフィズス菌(B. longum、B. infantis)を凍結乾燥して製剤化
- 腸に届くとそこで増え、乳酸や酢酸をつくり出します
✅ 抗菌作用のある「酢酸」も産生
- 酢酸は腸の中の悪玉菌の増殖を抑える働きがあります
✅ 粉末も錠剤も同等の効果
- 試験(in vitro=試験管内実験)で、両剤形ともに同じ効力があることが確認されています
効能・効果
腸内細菌のバランスが乱れたことによる以下のような症状に効果があります:
- 下痢
- 便秘
- 消化不良 など
有効性(臨床データより)
▶ 下痢に対する効果
- 対象:307例(腸炎・消化不良・風邪などによる下痢)
- 有効率:85.3%(262例)
分類 | 有効率 |
---|---|
乳幼児 | 86.8% |
成人 | 81.0% |
病因別:
- 消化不良症:94.4%
- 下痢症:77.5%
- 腸炎:83.7%
▶ 便秘に対する効果
- 対象:147例
- 有効率:78.9%(116例)
分類 | 有効率 |
---|---|
乳幼児 | 77.3% |
成人 | 79.2% |
病因別:
- 妊娠に伴う便秘:92.0%
- 慢性便秘:68.2%
用法・用量
💊 ラックビー微粒N(粉タイプ)
- 成人:1日3〜6gを3回に分けて服用
💊 ラックビー錠(錠剤タイプ)
- 成人:1日3〜6錠を3回に分けて服用
※年齢や症状に応じて医師が調整します。自己判断せず指示に従いましょう。
使用できない方(禁忌)
特別な禁止事項(禁忌)はありませんが、以下に該当する方は医師に相談しましょう。
- 成分にアレルギーのある方
- 過去に薬で発疹などを起こしたことがある方
飲み合わせに注意が必要な薬
明確な併用禁止薬はありませんが、抗生物質を同時に使うとビフィズス菌も抑えられる可能性があります。
- 抗生物質内服中の方は医師へ相談を。
副作用と発生頻度
重篤な副作用は報告されていませんが、一部以下のような報告があります。
分類 | 症状 | 頻度 |
---|---|---|
過敏症 | 発疹 | 頻度不明 |
消化器 | 腹部のはり(膨満感) | 0.1〜5%未満 |
※異常が見られた場合は、自己判断せず医師に相談してください。
まとめ
項目 | 内容 |
---|---|
薬効分類 | 整腸剤(薬効分類番号:2316) |
主成分 | ビフィズス菌(Bifidobacterium) |
効果 | 腸内環境の改善(下痢・便秘など) |
剤形 | 粉末(微粒N)・錠剤 |
特徴 | 酢酸と乳酸を産生し、有害菌を抑える |
有効率 | 下痢:85.3%、便秘:78.9% |
薬価 | 微粒N:6.5円/g、錠:6.1円/錠 |
💡 長年使われてきた安全性の高い整腸剤。
腸内環境を整えたい方、便通が不安定な方に適しています。副作用は少なく、子どもから大人まで幅広く使えるのが特徴です。
参考文献
- 【添付文書・インタビューフォーム】:
- → PMDA医薬品医療機器総合機構: https://www.pmda.go.jp
- 【KEGG DRUGデータベース】: → D04346 ビフィズス菌
よくある質問(Q&A)
-
ビフィズス菌(ラックビー)は、他の整腸剤と比べてどんな強みがある?
-
ラックビーは、生きたビフィズス菌(B. longum・B. infantis)を凍結乾燥した生菌製剤です。
他の整腸剤には乳酸菌や酪酸菌などがありますが、ラックビーの強みは次の点です:- 乳酸だけでなく抗菌作用のある酢酸を産生し、有害菌の発育を抑える
- 1956年からの使用実績がある老舗製剤で、安全性が高い
- 粉末タイプと錠剤タイプで服用しやすさが選べる
- 下痢・便秘の両方に有効性が示された臨床データがある(便秘78.9%、下痢85.3%の有効率)
-
ラックビーの発売はいつ?(先発薬の発売年)
-
ラックビーは、以下のような歴史を持ちます:
2011年:錠剤タイプ「ラックビー錠」も発売
1956年:ビフィズス菌製剤として初の製造許可取得(凍結乾燥型)
1961年:薬事法の承認制度に基づき「ラックビー」として承認
1962年4月:薬価収載(実質的な発売)
2005年:「ラックビー微粒N」として新たに承認
-
1か月(30日)処方された場合の薬価や実際の費用(目安)は?
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処方例:1日3回、各回1錠ずつ(計3錠/日)を30日分処方した場合
- ラックビー錠:6.1円/錠 × 3錠 × 30日 = 549円(薬価)
- 自己負担額(3割負担の方):約165円+調剤料
※用量が多くなると価格も増えます。1日6錠の場合は約330円/月(自己負担)。
粉末タイプ(微粒N)は 6.5円/g、同様に1日3gであれば **約195円/月(薬価)**です。
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妊娠中にビフィズス菌(ラックビー)は使ってもいい?
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妊娠中にも使用可能とされています。
むしろ、妊娠に伴う便秘症への使用において92.0%の有効率が示された臨床データがあります。ただし、自己判断での使用は避け、必ず主治医へ相談を
催奇形性などの明確なリスク報告なし
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授乳中に飲んでも大丈夫?母乳への影響は?
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授乳中の使用についても、明確な禁忌やリスクは報告されていません。
ビフィズス菌は腸内局所で作用するため、全身移行性が低く、母乳への影響も少ないと考えられます。ただし、安全のため、授乳中であることを医師に伝えたうえで処方を受けることをおすすめします。
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子どもにも使える? 乳児や幼児でもOK?
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はい、乳幼児から成人まで幅広い年齢層に使用可能です。
- 乳幼児の下痢への有効率:86.8%
- 便秘に対しても有効例あり
- 錠剤の服用が難しい場合は、**粉末タイプ(微粒N)**が推奨されます
※年齢に応じて用量を調整する必要があるため、小児への使用は医師の指導下で行ってください。
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ビフィズス菌ってヨーグルトとどう違うの?
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食品と異なり、医薬品は効果・安全性が試験で確認されています。生菌数・種類も異なるため、より確実に腸内改善を狙うなら医薬品の使用が推奨されます。
