抗生物質と一緒に飲む整腸剤は?ビオフェルミンR錠の使い方と注意点
抗生物質と一緒に飲む整腸剤は?
ビオフェルミンR錠の使い方と注意点

整腸剤の『ビオフェルミンR錠』を飲んでいます。

抗生剤による下痢の副作用を防ぐために処方されます。
ビオフェルミンRは当院で処方可能です。
この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。
ビフィズス菌(ビオフェルミンR錠)とは
ビオフェルミンR錠は、**耐性乳酸菌(Streptococcus faecalis 129 BIO 3B-R)**を有効成分とする整腸剤です。
抗生物質の服用中でも増殖できるよう設計された乳酸菌が腸内で乳酸を産生し、腸内フローラの乱れを改善します。
ビオフェルミンR錠の特徴
✅ 1. 抗生物質に耐性のある乳酸菌
- 通常の乳酸菌は抗生物質に弱く、死滅しやすい
- 本剤に含まれる乳酸菌は、ペニシリン系・セフェム系・マクロライド系など広範囲の抗生物質に耐性あり
- 抗菌薬投与中も腸内で乳酸を産生して整腸作用を発揮
✅ 2. 有害菌の抑制作用
- 緑膿菌、ブドウ球菌、クロストリジウムなどの増殖を抑制
- 抗菌薬により乱れた腸内で有害菌や真菌の異常増殖を予防
✅ 3. 飲みやすい設計
- 錠剤の小型化により、服用しやすい
- 乳糖フリーなので、乳糖不耐症の方にも配慮
- PTP包装(押し出し式シート)で衛生的に携帯可能
効能・効果
抗菌薬・化学療法剤による腸内異常に伴う症状の改善
以下の薬剤投与に伴って発生する、腸内環境の乱れによる症状(下痢、便秘、腹部膨満など)に有効です。
- ペニシリン系
- セファロスポリン系
- アミノグリコシド系
- マクロライド系
- テトラサイクリン系
- ナリジクス酸系 など
用法・用量
- 通常、成人には 1日3錠を3回に分けて経口投与します
- 症状や年齢に応じて、適宜増減可能です
⚠️ PTPシートごと飲まないよう注意!
PTPシートのまま誤飲すると、食道に刺さる事故や穿孔による重篤な合併症が起きる可能性があります。
必ず錠剤を取り出してから服用してください。
使用できない方(禁忌)
添付文書上、明確な絶対的禁忌はありません。
飲み合わせに注意が必要な薬
- 抗生物質との併用が前提の薬であり、基本的には安全に併用可能
- ただし、他の整腸剤や生菌製剤との併用は作用の重複や増強の可能性があるため、必要に応じて医師へ相談を
副作用と発生頻度
副作用は非常に少ないとされていますが、以下の点に注意してください。
- 稀に軽度な下痢・便秘・腹部不快感などの症状が出ることがあります
- 国内小児試験では、有効率83.3%と高く、重篤な副作用の報告はなし
まとめ
抗菌薬を使っている間の腸の不調には、早めの整腸対策が大切です手に取り入れて、健やかな腸活を目指しましょう。
ビオフェルミンR錠は、抗菌薬による腸内トラブルの改善に特化した整腸剤
耐性乳酸菌の働きにより、抗菌薬と併用しても腸内環境を守ることができます
飲みやすさや安全性にも配慮された設計
参考文献
- PMDA添付文書(ビオフェルミンR錠)
- KEGG DRUG:D04345
- 日本化学療法学会雑誌:耐性乳酸菌製剤の抗菌剤併用時の整腸作用に関する研究
- ビオフェルミン製薬 医療関係者向け資料(IF/製品概要書)
よくある質問(Q&A)
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抗生物質と一緒に飲む整腸剤、ビオフェルミンR錠のメリットは何ですか?
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ビオフェルミンR錠は、耐性乳酸菌(Streptococcus faecalis 129 BIO 3B-R)を含む整腸剤です。
この乳酸菌は抗生物質に対して強い耐性を持っており、抗生物質を飲んでいる最中でも腸内で活性を保てるのが最大の特徴です。
通常の乳酸菌整腸剤は抗生物質に影響されやすいのに対し、ビオフェルミンR錠は抗菌薬で腸内環境が乱れたときでも有効に働けるという点で優れています。さらに、他の製品では粉薬(散剤)が主流だった中、飲みやすい錠剤タイプとして開発され、乳糖フリーである点も、乳糖不耐症の方には大きな利点です。
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ビオフェルミンR錠の発売はいつですか?
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ビオフェルミンR(散剤)は1973年に承認され、その後1984年に有効性が再評価されています。
現在の「ビオフェルミンR錠」は、製剤改良により2013年2月にPTP包装・小型化錠として変更承認され、現行の製品形態となりました。
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ビオフェルミンR錠の薬価や自己負担額の目安は?
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薬価(公定価格)は6.1円/錠です。
一般的な処方例では1日3錠(3回)を30日間服用すると、薬価ベースで約183円/月。
自己負担額(3割負担)では、約55円/月と非常に安価です(診察料・調剤料等は別途発生します)。
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妊娠中にビオフェルミンR錠を飲んでも大丈夫ですか?
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現在のところ、妊娠中の使用において重大なリスクは報告されていません。
生菌製剤でありながら腸管内での作用にとどまるため、全身性の影響はほとんどないとされています。
ただし、妊娠中の薬の使用はすべて医師に相談のうえ、自己判断で服用を継続・中止しないことが原則です。
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授乳中でもビオフェルミンR錠は飲めますか?
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ビオフェルミンR錠は腸内で局所的に作用する薬であり、母乳中に移行することはほぼないと考えられています。
そのため、授乳中でも一般的には安全に使用できる整腸剤です。
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子どもにもビオフェルミンR錠は使えますか?
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小児への使用実績もあります。特に、抗生物質による下痢のある患児に対して整腸目的で使用されることがあります。
実際の臨床試験では、2ヶ月~13歳の小児に対してビオフェルミンR散を投与し、**有効率83.3%**が確認されています。
錠剤が飲みにくい小児には、ビオフェルミンR散の使用が一般的です。年齢に応じて用量が異なるため、医師の指示に従いましょう。
