エゼチミブ(ゼチーア)の特徴・使い方・注意点まとめ|スタチンと併用される理由とは?
エゼチミブ(ゼチーア)の特徴
・使い方・注意点まとめ|
スタチンと併用される理由とは?

脂質異常症のお薬で『エゼチミブ(ゼチーア)』を飲んでいます。

小腸からのコレステロールの吸収を抑えるので、
食事量が多い方に適する薬です。ゼチーアは当院でも処方可能です。
この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。
エゼチミブ(ゼチーア)とは
エゼチミブ(商品名:ゼチーア)は、小腸でのコレステロール吸収を抑える新しいタイプの脂質異常症治療薬です。
1994年にアメリカで開発され、世界で初めて「小腸コレステロールトランスポーター阻害剤」として登場しました。
既存薬と異なる作用機序
従来の薬(スタチンなど)は肝臓でのコレステロール合成を抑えるのに対し、エゼチミブは小腸での吸収をブロックすることでコレステロールを下げます。
エゼチミブ(ゼチーア)の特徴
✅ 特徴1:世界初の新機序薬
NPC1L1というたんぱく質を標的とし、コレステロール吸収を選択的に抑制します。
✅ 特徴2:単独・併用どちらでも効果あり
- 単独投与でLDLコレステロールを約18%低下
- スタチン併用でさらに強力なコレステロール低下作用が期待されます
✅ 特徴3:飲みやすい設計
- 小型の錠剤
- 1日1回の服用でOK
- 良好な服薬コンプライアンスが見込まれます
✅ 特徴4:相互作用が少ない代謝経路
- CYP酵素を介さない代謝(グルクロン酸抱合)
- 他薬との併用での代謝リスクが比較的少ない
効能・効果
以下の3つの疾患が適応となっています:
- 高コレステロール血症
- 家族性高コレステロール血症
- ホモ接合体性シトステロール血症
※特にスタチンで効果不十分な患者さんや、食事・運動療法のみで管理が難しい方に適しています。
用法・用量
- 通常:1回10mgを1日1回、食後に服用
- 患者さんの年齢や状態に応じて、医師の判断で調整されることもあります
🔍 食事療法・運動療法との併用が基本
薬物治療は補助的手段です。生活習慣の改善もあわせて行うことが重要です。
使用できない方(禁忌)
以下に該当する方は、ゼチーアを使用できません:
- 本剤に対して**アレルギー(過敏症)**のある方
- スタチン併用が必要な場合で、重度の肝機能障害がある方
併用に注意が必要な薬
併用薬 | 注意点 | 対応策 |
---|---|---|
陰イオン交換樹脂(コレスチラミンなど) | 吸収低下 | 服用時間を2時間前または4時間後にずらす |
シクロスポリン | 血中濃度の上昇 | 血中濃度を定期的にモニタリング |
クマリン系抗凝固薬(ワルファリンなど) | INR上昇の可能性 | INR検査を定期的に実施 |
フィブラート系薬剤 | 胆石リスクなど | 胆のう系の副作用に注意して使用 |
副作用と発生頻度
主な副作用(発現率の高いもの)
症状 | 発現率 |
---|---|
便秘 | 3.0% |
発疹 | 2.4% |
下痢 | 2.2% |
腹痛 | 2.0% |
悪心・嘔吐、腹部膨満 | 各1.6% |
臨床検査値の異常(12.1%)
- γ-GTP上昇:2.6%
- CK上昇:2.2%
- ALT上昇:2.2%
重大な副作用(頻度不明)
- 過敏症(アナフィラキシー、発疹など)
- 横紋筋融解症(筋肉痛・CK上昇など)
- 肝機能障害(AST・ALT上昇を伴う)
まとめ
🔸 エゼチミブ(ゼチーア)は、小腸でのコレステロール吸収をブロックする新しいタイプの脂質異常症治療薬です。
🔸 単独でも、スタチンとの併用でも効果を発揮し、コレステロール管理の幅を広げてくれる存在です。
参考情報・出典
- 医薬品インタビューフォーム(IF)
- → 製薬会社提供の詳細な薬剤情報。ゼチーアの臨床成績・薬理情報も掲載。
- PMDA(医薬品医療機器総合機構)の添付文書
- → PMDA検索サイトで「ゼチーア」で検索可。
よくある質問(Q&A)
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エゼチミブ(ゼチーア)の特徴は?他の高脂血症治療薬と何が違う?
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エゼチミブ(ゼチーア)は、小腸でのコレステロール吸収を選択的に抑える薬で、世界初の「小腸コレステロールトランスポーター阻害剤」として開発されました。
一般的に使用されるスタチン系薬剤(HMG-CoA還元酵素阻害剤)は、肝臓でのコレステロール合成を抑えることで血中コレステロールを下げます。
このため、スタチン単独では効果が不十分な患者さんにエゼチミブを追加することで、LDLコレステロールをさらに下げる効果が期待できます。スタチンと併用しても代謝経路が重ならない点も強みです。
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ゼチーア(先発品)はいつ発売されたの?
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ゼチーア(一般名:エゼチミブ)は、2002年にアメリカとドイツで発売されました。
日本では臨床試験などを経て、2007年4月に承認・販売開始となっています。
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ゼチーアの薬価は?30日分の価格と自己負担額の目安は?
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ゼチーア錠10mg(先発品)の薬価は64.4円/錠です。
通常の用法では1日1回1錠服用するため、30日分で以下のようになります。- 薬価(定価ベース):
64.4円 × 30日 = 1,932円 - 自己負担額(3割負担の方の場合):
約580円 - ジェネリック医薬品(エゼチミブ錠10mg「DSEP」など)の薬価:
約30.7円/錠(1か月:約921円、自己負担:約276円)
💡ジェネリックを選択すれば、自己負担はおよそ半額に抑えられます。
- 薬価(定価ベース):
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妊婦へのエゼチミブ使用は可能?リスクや注意点は?
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妊婦または妊娠の可能性がある方への使用は、治療上の有益性が危険性を上回ると医師が判断した場合にのみ使用可能です。
ヒトでの安全性は確立しておらず、胎児への影響が否定できません。さらに、スタチン製剤との併用は禁忌とされています。スタチンは妊婦には使用できないため、併用療法を行っている場合は特に注意が必要です。
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小児には使用できますか?
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現時点で、日本国内では小児に対する使用は承認されていません。
臨床試験も実施されていないため、安全性・有効性が確立していません。
