パルモディアとは?効果・副作用・使い方を医師がわかりやすく解説

パルモディアとは?
効果・副作用・使い方を
医師がわかりやすく解説

脂質異常症のお薬で『パルモディア(ペマフィブラート)』を飲んでいます。

フィブラート系薬剤で、近年発売されたお薬ですね。

ジェネリック医薬品はまだありません。

パルモディアは当院でも処方可能です。

この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。

ペマフィブラート(パルモディア)とは

脂質異常症の中でも、特に中性脂肪が高いタイプに使われる薬です。

ペマフィブラート(商品名:パルモディア錠)は、高脂血症(脂質異常症)の治療薬のひとつで、以下のような特徴をもつ方に使われます。

  • トリグリセライド(中性脂肪)が高い
  • HDLコレステロール(善玉)が低い
  • LDLコレステロールはスタチンなどで管理しているが、それ以外の脂質が改善しない

※LDLコレステロールのみが高い場合には、第一選択薬にはなりません。


ペマフィブラートの特徴

🔬 新しい作用機序「選択的PPARαモジュレーター(SPPARMα)」

従来のフィブラート系薬に比べて、効果と副作用のバランスを改善するよう設計された薬です。

  • 肝臓の核内受容体「PPARα」に作用し、脂質代謝に関わる遺伝子の働きを調整
  • トリグリセライド(TG)の合成を抑え、HDLコレステロールを増やす
  • 小型で密度の高いLDL(small dense LDL)などのアテローム性リポ蛋白にも作用

効能・効果

  • 「高脂血症(家族性を含む)」
    ※実際の適応は、LDLコレステロールが正常〜軽度上昇の方で、中性脂肪が高いタイプが中心です。

用法・用量

  • 通常は、1回0.1mgを1日2回(朝・夕)経口投与
  • 最大でも**1回0.2mgを1日2回(1日計0.4mg)**まで

💡服用のタイミング

食後が基本ですが、医師の指示に従って毎日同じタイミングで飲むのが望ましいとされています。


腎機能が悪い方の場合の注意

  • eGFR<30mL/min/1.73㎡の方は、少量から投与開始または投与間隔の延長が必要です。
  • 最大でも1日0.2mgまで

使用できない方(禁忌)

以下に該当する方は、ペマフィブラートを使用できません。

禁忌対象理由・注意点
アレルギー歴がある方成分に過敏症がある場合
重篤な肝障害や肝硬変(Child-Pugh B/C)肝機能に負担がかかるため
胆道閉塞・胆石がある方胆石形成リスクあり
妊婦・妊娠の可能性がある方胎児への安全性未確認
シクロスポリン・リファンピシン内服中薬の血中濃度が大きく上昇するため

併用に注意が必要な薬

❗特に注意が必要な薬(腎障害・横紋筋融解リスク)

  • スタチン系薬(プラバスタチン、シンバスタチンなど)
  • クロピドグレル
  • クラリスロマイシン、リトナビルなど
  • フルコナゾール

➡ これらを併用する場合は減量や腎機能の定期チェックが必要です。

⏱️時間をあけて服用すべき薬

  • 陰イオン交換樹脂(コレスチラミン、コレスチミド)
    → ペマフィブラートの吸収を阻害するため、服用間隔をあける必要があります。

副作用と発生頻度

重篤な副作用(頻度不明)

  • 横紋筋融解症(筋肉痛、脱力感、CK上昇など)
  • 肝機能障害、黄疸(倦怠感、食欲低下、皮膚や白目の黄変)

⚠ これらが疑われる場合はすぐに服薬を中止し、受診を。


よくある副作用(一部抜粋)

頻度内容
1%以上胆石症(5%前後)
0.1〜1%未満肝機能異常、筋肉痛、発疹、かゆみ、血糖上昇、尿酸値上昇

まとめ:ペマフィブラートはこんな方におすすめ

✅ LDLコレステロールは正常でも中性脂肪が高い方
✅ スタチン治療後も脂質異常が残る方
✅ 糖尿病やメタボがあり、動脈硬化リスクが高い方


👨‍⚕️ 受診・相談のポイント

  • 他の薬を内服中の場合は必ず申告
  • 妊娠中・妊娠希望の方は原則使用不可
  • 筋肉痛、脱力、腹痛、かゆみなどの異変があればすぐ受診

参考情報・出典

  • パルモディア インタビューフォーム(興和、最新版)
  •  → 薬理、臨床成績、副作用、相互作用まで網羅的に記載
  • 添付文書・患者向医薬品ガイド(PMDA)
  •  → 厚生労働省管轄の正式文書
  • 動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版(日本動脈硬化学会)
  •  → 脂質異常症の治療指針の最新版

よくある質問(Q&A)

パルモディアは、従来のフィブラート系薬に比べてどこが優れているの?

トパルモディア(一般名:ペマフィブラート)は、従来のフィブラート系薬(例:フェノフィブラートなど)に比べて以下の点で優れた特徴を持ちます。

HDLコレステロールを上げる作用が明確
 → 臨床試験で、善玉コレステロールをしっかりと増加させるデータがあります。

PPARαに対する選択性が高く、副作用リスクが抑えられている
 → 他のPPARサブタイプへの影響が少ないため、安全性に配慮された設計です。

腎機能が低下している患者でも使いやすい
 → 比較的低用量で効果があり、腎臓に負担をかけにくいとされています。

パルモディア(ペマフィブラート)はいつ発売されたの?

パルモディアは、2017年7月に製造販売承認を受けた新しい脂質異常症治療薬です。
比較的新しい薬剤であり、フィブラート系の中では第2世代以降の薬と位置づけられます。

パルモディアを1か月(30日分)処方された場合の薬価と自己負担額の目安は?

2024年時点での薬価は以下の通りです:

製剤名薬価(1錠)1日量(通常)30日分の薬価自己負担額(3割負担)
パルモディア錠0.1mg32.4円2錠(朝夕1錠ずつ)1,944円約580円
パルモディアXR錠0.2mg60円1錠1,800円約540円
パルモディアXR錠0.4mg111円1錠3,330円約1,000円

ジェネリック医薬品がないので、別のトライコアなどの同系統の医薬品を先に使うことが多いです。

妊婦はパルモディアを使えるの?

使用できません(禁忌)

  • 妊娠中または妊娠の可能性がある女性には**禁忌(投与禁止)**とされています。
  • 胎児に対する安全性は確認されておらず、動物実験でも明確なリスクが示唆されています。

➡ 妊娠の可能性がある場合は、必ず事前に医師へ伝えてください。

小児はパルモディアを使用できますか?

基本的に使用されていません。

原則として小児への処方は控えるべきとされています。

小児を対象とした臨床試験は実施されておらず、有効性・安全性は確立されていません。