ピタバスタチン(リバロ)のすべて|効果・副作用・飲み方・注意点を医師が解説
ピタバスタチン(リバロ)
|効果・副作用・飲み方・注意点を医師が解説

コレステロールの薬で『ピタバスタチン(リバロ)』を飲んでいます。

悪玉LDLを下げるだけでなく
善玉HDLコレステロールを向上させる効果もあります。
リバロは当院でも処方可能です。
この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。
ピタバスタチン(リバロ)とは
ピタバスタチン(商品名:リバロ)は、日本で初めて開発された"全合成"のスタチン系薬剤(HMG-CoA還元酵素阻害薬)です。コレステロールを合成する酵素の働きを抑えることで、
- 悪玉コレステロール(LDL)を下げる
- 善玉コレステロール(HDL)を上げる
といった働きがあります。
脂質異常症(高コレステロール血症・家族性高コレステロール血症)の治療に使用されます。
特徴
効果が強く持続する
肝臓に選択的に作用し、LDLコレステロールを約40%、総コレステロールを約28%低下させることが確認されています。
他の薬との相互作用が少ない
CYP3A4ではなく、主にCYP2C9で代謝されるため、薬の相互作用が比較的少ないとされています。
HDLコレステロールを上げる
他のスタチンと比べても、HDLコレステロールを11%増加させるという特徴があります。
高齢者・小児にも使いやすい
水なしで服用可能なOD錠(口腔内崩壊錠)があり、飲み込みが難しい方にも適しています。
効能・効果
- 高コレステロール血症
- 家族性高コレステロール血症(※ホモ接合体は慎重投与)
小児(10歳以上)の家族性高コレステロール血症にも使用が認められていますが、専門医による慎重な判断が求められます。
用法・用量
成人
- 通常:1〜2mgを1日1回内服
- 効果が不十分な場合:最大4mgまで増量可能
小児(10歳以上)
- 通常:1mgを1日1回内服
- 効果が不十分な場合:最大2mgまで
※肝機能障害がある場合は、最大2mg/日までに制限されます。
使用できない方(禁忌)
以下に該当する方は使用できません:
- 成分にアレルギーのある方
- 重篤な肝障害、胆道閉塞がある方
- シクロスポリンを服用中の方
- 妊娠中、または妊娠の可能性がある方
- 授乳中の方
併用に注意が必要な薬
次の薬と併用する場合は特に注意が必要です:
- フィブラート系薬(ベザフィブラートなど)
- ニコチン酸製剤
- エリスロマイシン、リファンピシン
- コレスチラミン(吸収を妨げる可能性)
副作用のリスクを高める可能性があるため、併用薬は必ず医師に伝えてください。
主な副作用と頻度
重大な副作用(頻度不明)
- 横紋筋融解症(筋肉痛、尿が赤褐色など)
- 肝機能障害・黄疸(AST/ALTの上昇)
- 重症筋無力症の発症・悪化
- 間質性肺炎(咳、呼吸困難、発熱)
比較的よくある副作用
- CK上昇、肝機能値上昇(AST、ALT、γ-GTPなど)
- 吐き気、胃の不快感、頭痛、倦怠感
- 発疹、かゆみ など
まとめ
- ピタバスタチン(リバロ)は、日本初の全合成スタチンで、LDLをしっかり下げる効果があります。
- 他の薬との相互作用が少なく、HDLを上げる特徴も。
- 小児や高齢者にも使用しやすい剤形(OD錠)があり、服用しやすい。
- 重大な副作用の可能性もあるため、異常を感じたら医師に相談しましょう。
- 薬だけに頼らず、生活習慣の改善(食事・運動)も大切です。
以上をふまえ、主治医と相談しながら、継続的な治療を進めていきましょう。
参考情報・出典
- 興和株式会社『医薬品インタビューフォーム』(最新版)
- 『リバロ添付文書』(PMDA、JAPIC)
- 日本動脈硬化学会『動脈硬化性疾患予防ガイドライン』
よくある質問(Q&A)
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ピタバスタチン(リバロ)は他のスタチンと何が違うの?
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リバロは、日本で初めて全合成されたHMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)です。特に以下の点で他のスタチンより優れた特徴があります:
- CYP3A4で代謝されにくく、薬の相互作用が少ない
- HDL(善玉)コレステロールを上げる効果がある
- 口腔内崩壊錠(OD錠)により、水なしで飲める
こうした点は、特に多剤併用中の高齢者や、飲み薬が苦手な人にとって大きなメリットです。
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リバロ(ピタバスタチン)の発売年はいつ?
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2003年7月:リバロ錠1mg・2mg 承認
2012年1月:4mg錠 承認
2013年2月以降:口腔内崩壊錠(OD錠) 承認
2015年6月:10歳以上の小児に対する用法・用量が承認
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ピタバスタチンの薬価と、30日分処方時の自己負担額の目安は?
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以下は2023年時点の**先発品(リバロ)と後発品(ピタバスタチンCa錠「アメル」/共和薬品工業)**の薬価比較です。
錠剤の種類 薬価(1錠) 30日分(薬価合計) 自己負担(3割負担の例) リバロ錠1mg(先発品) 25.4円 約762円 約230円 ピタバスタチンCa錠1mg「アメル」 10.1円 約303円 約90円 リバロ錠2mg(先発品) 42.4円 約1,272円 約380円 ピタバスタチンCa錠2mg「アメル」 13.7円 約411円 約120円 リバロ錠4mg(先発品) 79.6円 約2,388円 約720円 ピタバスタチンCa錠4mg「アメル」 25.4円 約762円 約230円 ※薬局での技術料や管理料などにより、実際の負担額は若干異なる場合があります。
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妊娠中ですが、ピタバスタチンは使えますか?
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妊婦または妊娠の可能性がある女性には使用できません(禁忌)。
- 動物実験では、胎児への悪影響(骨格異常や死亡)が報告されています。
- 他のスタチンと同様に、胎児の発育に関わる重要な酵素を阻害する可能性があります。
妊娠が判明したら、すぐに医師に相談し、薬の中止を検討してください。
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小児でもピタバスタチンを使えますか?
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10歳以上の小児で、家族性高コレステロール血症と診断された場合に限り、使用可能です。
- 小児では運動量が多く、筋肉への負担も大きいため、筋障害リスクに注意が必要です。
- 専門医の指導のもとで、血液検査(CK値)などを定期的に行いながら使用します。
- 女児への使用は慎重に検討する必要があります(国内での使用実績が限られているため)。
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「全合成」って何ですか?医薬品における意味を教えてください。
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「全合成(ぜんごうせい)」とは、天然物や生物由来の物質を使わず、すべての成分を化学的に合成して作ることを意味します。
