アトルバスタチン(リピトール)とは?効果・飲み方・副作用までわかりやすく解説
アトルバスタチン(リピトール)
とは?効果・飲み方・副作用までわかりやすく解説

コレステロールの薬で『アトルバスタチン(リピトール)』を飲んでいます。

悪玉LDLコレステロールをしっかり下げる、強い作用を持つのが特徴です。
やや他の薬よりも筋痛が起こりやすいとされます。
リピトールは当院でも処方可能です。
この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。
アトルバスタチン(リピトール)とは
アトルバスタチンは、いわゆる「スタチン系」と呼ばれるHMG-CoA還元酵素阻害薬の一種です。主に肝臓でのコレステロール合成を抑制して、**LDL-コレステロール(悪玉コレステロール)**などを下げる作用があります。日本では「リピトール」という商品名で広く処方されており、高コレステロール血症や家族性高コレステロール血症の治療薬として使用されます。
アトルバスタチン(リピトール)の特徴
強力なLDL-コレステロール低下作用
水溶性のスタチン系薬剤よりも強力に、用量依存的に血清コレステロールを低下させることが報告されています。10mgの投与でLDL-コレステロール値が平均約40%下がったという国内試験結果もあります。
1日1回の内服でOK
1日1回の服用が基本のため、患者さんの負担が比較的少なく、継続しやすいお薬です。
幅広い国と地域で使われている
世界100ヵ国以上で製造承認・発売されており、臨床経験やデータが豊富に蓄積されています。
効能・効果
アトルバスタチン(リピトール)の主な効能・効果は次の2つです。
- 高コレステロール血症:生活習慣の改善(食事・運動療法など)を行っても、なかなかコレステロール値が下がらない場合に使用します。
- 家族性高コレステロール血症:遺伝的な要因で血中のLDL-コレステロールが非常に高い方に対して用いられます。
用法・用量
高コレステロール血症の場合
通常はアトルバスタチンとして10mgを1日1回服用します。症状や年齢などに応じて調整しますが、重症の場合は1日20mgまで増量できます。
家族性高コレステロール血症の場合
通常は10mgを1日1回服用し、重症の場合は1日40mgまで増量できます。
※いずれも医師の判断により増減されることがあります。必ず指示どおりに服用し、自己判断で中止や変更をしないようにしましょう。
使用できない方(禁忌)
以下に該当する方は、アトルバスタチン(リピトール)を使用できません。
- 本剤の成分に対して過敏症(アレルギー)の既往歴がある方
- 肝代謝機能が低下していると考えられる方(急性肝炎、慢性肝炎の急性増悪、肝硬変、肝がん、黄疸など)
- 妊婦または妊娠の可能性がある方、授乳中の方
- グレカプレビル・ピブレンタスビル(慢性肝炎治療薬)を服用中の方
「肝臓に負担がかかりやすい方」「妊娠中や授乳中の女性」は特に注意が必要です。心当たりのある方は、必ず処方前に医師へ伝えてください。
併用に注意が必要な薬
アトルバスタチン(リピトール)と併用する際に、相互作用のリスクが高まるお薬がいくつかあります。
代表的な併用注意薬
- フィブラート系薬、ニコチン酸製剤:筋肉障害(横紋筋融解症)のリスク
- 免疫抑制剤(シクロスポリンなど):血中濃度の上昇による副作用の増加
- 一部の抗真菌薬、抗菌薬:代謝酵素(CYP3A4)阻害による血中濃度の上昇
- HIVプロテアーゼ阻害剤、ニルマトレルビル・リトナビルなど:同上
- グレープフルーツジュース:CYP3A4を阻害し血中濃度が上昇
他の薬やサプリメントを服用している方は、必ず受診時に医師や薬剤師へ伝えてください。
副作用と発生頻度
主な副作用
- 消化器系:胃の不快感、下痢、便秘、胸やけ、吐き気など
- 皮膚症状:かゆみ、発疹など
- 神経系:手足のしびれ、めまい、不眠、頭痛など
- 全身症状:倦怠感、筋肉痛、関節痛など
臨床試験では約8.7%、市販後調査では約12%に副作用が認められています。
重大な副作用
- 横紋筋融解症、ミオパチー:筋肉痛や茶色い尿がある場合はすぐ受診
- 劇症肝炎、肝機能障害、黄疸:だるさ、吐き気、皮膚や白目の黄ばみ
- 無顆粒球症、汎血球減少症、血小板減少症:血液検査異常に注意
- 重症筋無力症、アナフィラキシー反応など
こうした重篤な副作用はまれですが、異常を感じた場合はすぐに医療機関へ相談してください。
まとめ
アトルバスタチン(リピトール)は、高コレステロール血症や家族性高コレステロール血症の治療において非常に有用な薬です。
ポイントまとめ
- 1日1回の内服で、強力かつ安定したLDLコレステロール低下効果が期待できます。
- ただし、肝臓や筋肉への負担が懸念されるため、医師の指示のもとで定期的な検査が必要です。
- 副作用に気づいたら、自己判断せずすぐに医師へ相談を。
参考情報・出典
- アトルバスタチン(リピトール)の添付文書(PMDA収載)
- 医薬品インタビューフォーム(医療従事者向けだが、薬の詳細情報が得られる)
- 日本動脈硬化学会「脂質異常症治療ガイドライン(JASガイドライン)」
よくある質問(Q&A)
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他のスタチン系薬(ロスバスタチンやプラバスタチンなど)と比べて、アトルバスタチンの強みは何ですか?
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アトルバスタチン(リピトール)の最大の強みは、LDLコレステロールを強力に下げる効果です。
国内の検証的試験では、10mg/日投与で平均約40%のLDLコレステロール低下が認められました。この効果は、他のスタチン系薬(特に中等度作用の薬剤)と比較して高く、1日1回の服用でより高い目標達成率が期待できます。また、トリグリセリド(中性脂肪)や総コレステロールも同時に低下させるため、複合的な脂質異常を抱える患者さんにも有用とされています。
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アトルバスタチン(リピトール)の発売はいつですか?
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アトルバスタチンは、米国では1997年に承認され、日本では2000年に「リピトール」として発売されました。
その後、2021年にはアステラス製薬からヴィアトリス製薬へと製造販売が移管されました。
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アトルバスタチンの1か月分の薬価と自己負担の目安はいくらですか?
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2024年時点の薬価は以下のとおりです(1錠あたり)。
- リピトール錠5mg:20.2円
- リピトール錠10mg:28.5円
たとえば、10mgを1日1回30日処方された場合:
- 薬価合計:28.5円 × 30錠 = 855円
- 自己負担(3割負担):約 260円
- 自己負担(1割負担):約 90円
※ 実際の調剤料や処方料を含めた総費用は別途かかります。保険の負担割合や薬局によっても若干異なります。
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妊娠中でもアトルバスタチンは使えますか?
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使用できません。
妊婦、または妊娠の可能性がある女性には**禁忌(絶対に使ってはいけない)**とされています。動物実験では、出生児の死亡率上昇や発育遅延、骨格奇形の発現が報告されており、ヒトでもスタチン系薬を妊娠初期に服用した場合の先天異常のリスクが指摘されています。妊娠が判明した時点で、速やかに医師へ連絡し、服薬を中止することが推奨されます。
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授乳中にアトルバスタチンを使うことはできますか?
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授乳中の使用も禁忌です。
動物実験で乳汁中への移行が確認されており、乳児への影響が懸念されます。母乳を通じて薬の成分が赤ちゃんに移行する可能性があるため、授乳中は原則として使用を避けます。
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グレープフルーツジュースを飲みながらアトルバスタチンを服用しても大丈夫?
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避けた方が安全です。
グレープフルーツに含まれる成分が、アトルバスタチンの代謝酵素(CYP3A4)を阻害し、薬の血中濃度を大幅に上昇させてしまう可能性があります。その結果、筋肉障害や肝障害などの副作用リスクが高まるおそれがあるため、アトルバスタチン服用中はグレープフルーツジュースを避けることが望まれます。
