高血圧治療薬オルメサルタン(オルメテックOD)
高血圧治療薬
オルメサルタン(オルメテックOD錠)

血圧の薬で『オルメサルタン(オルメテックOD錠)』を飲んでいます。

比較的降圧効果が高く、OD錠(口腔内崩壊錠)で飲みやすいのが特徴です。
オルメテックは当院でも処方可能です。
この記事では、公的な参考資料を基に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。
オルメサルタン(オルメテック)とは
オルメサルタン (一般名:オルメサルタン メドキソミル)は、「アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)」と呼ばれる高血圧治療薬のひとつです。血管を収縮させるアンジオテンシンIIという物質の働きを抑えることで血圧を下げ、24時間にわたり安定した降圧効果をもたらします。
日本では第一三共株式会社から「オルメテック」という製品名で発売され、OD錠(口腔内崩壊錠)が開発されており、水なしでも服用しやすい剤形が用意されています。
オルメサルタン(オルメテック)の特徴
- アンジオテンシンIIタイプ1受容体(AT1)を強力に遮断
アンジオテンシンIIが血管を収縮させる作用を抑え、高血圧を改善します。 - 1日1回の服用で効果が持続
長時間にわたり血圧をコントロールし、患者さんの飲み忘れを減らすメリットがあります。 - 食事の影響をほとんど受けない
食前・食後など、服用タイミングによる効果の差が少なく、服薬しやすいのが利点です。 - OD錠(口腔内崩壊錠)も選択可能
水なしで服用でき、錠剤を飲み込みづらい方や高齢の患者さんでも比較的飲みやすい製剤です。
効能・効果
- 高血圧症
本剤は高血圧症の治療に用いられ、血圧をコントロールすることで脳卒中や心臓・腎臓などの合併症リスクを下げることが期待できます。
用法・用量
- 通常
成人の場合、オルメサルタン メドキソミルとして 10〜20mgを1日1回経口投与 します。 - 開始用量の目安
多くの場合、 1日5〜10mg から開始し、効果や症状に応じて増減します。 - 最大用量
1日40mgまで が上限となります。
服用時に食事の影響はほとんどありません。医師の指示に従い、決められた時間に1日1回服用してください。OD錠の場合は、水なしでも水と一緒でも服用できます。
使用できない方
以下のような方は、原則として本剤を使用できません。
- 本剤の成分に対して過敏症(アレルギー)がある方
以前にオルメサルタン メドキソミルなどでかゆみや発疹などの症状が出た方は使用できません。 - 妊婦または妊娠している可能性のある女性
妊娠中の服用で、胎児に影響が及ぶリスクがあるため禁忌となります。 - アリスキレンフマル酸塩を投与中の糖尿病患者さん(特別な場合を除く)
レニン−アンジオテンシン系を強力に抑制しすぎると、腎機能障害などのリスクが高まる報告があります。
妊娠の可能性がある場合や服用中に妊娠が判明した場合は、すぐに医師へ相談してください。
併用に注意が必要な薬
オルメサルタン (オルメテック)と併用すると、下記のような影響が出る可能性があります。現在服用中の薬がある方は、必ず医師・薬剤師にお伝えください。
- カリウム保持性利尿剤(スピロノラクトン、トリアムテレンなど)やカリウム補給剤
→ 高カリウム血症(血清カリウム値の上昇)が起こりやすくなります。 - 利尿降圧剤(フロセミド、トリクロルメチアジドなど)
→ 急激な血圧低下が起こる場合があります。 - リチウム製剤(炭酸リチウムなど)
→ リチウム中毒のリスクが高まる恐れがあります。 - アリスキレンフマル酸塩(腎機能障害がある場合等)・アンジオテンシン変換酵素阻害薬
→ 腎機能障害や高カリウム血症、低血圧などのリスク増加が報告されています。 - 非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs)
→ オルメサルタンの降圧作用が弱まったり、腎機能が悪化するおそれがあります。
副作用と発生頻度
■ 比較的よくみられる副作用(1〜5%程度)
- めまい、立ちくらみ、ふらつき感
- むくみ
- 血液検査値の変化(赤血球・ヘモグロビン・ヘマトクリットの減少 など)
■ まれ(頻度不明)だが重大な副作用
- 腎不全、高カリウム血症
- 血管浮腫(顔面や唇、舌が腫れるなど)
- ショック、意識消失
- 肝機能障害、黄疸
- 血小板減少、低血糖、横紋筋融解症
- アナフィラキシー(全身発疹、血圧低下など)
- 重度の下痢(長期投与による体重減少を伴う場合も)
- 間質性肺炎(発熱・咳・呼吸困難などを伴う)
副作用が疑われる症状が出た場合は、すぐに服用を中止し、医療機関を受診してください。
まとめ
- オルメサルタン (オルメテック) は、高血圧症治療に広く使われるアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)です。
- OD錠で飲みやすく、降圧効果も期待できるお薬です。
参考情報・出典
- 医薬品インタビューフォーム(第一三共)
- PMDA添付文書(https://www.pmda.go.jp/)
- KEGG DRUGデータベース(https://www.genome.jp/kegg/drug/)
- 日本高血圧学会ガイドライン(JSH)
よくある質問(Q&A)
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オルメテック(オルメサルタン)はいつ発売されたの?
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日本で初めて「オルメテック錠10mg・20mg」が2004年1月29日に製造承認されました。その後、5mg(2006年)と40mg(2009年)が追加され、さらにOD錠(口腔内崩壊錠)は2015年~2017年にかけて承認されています。
※一部の規格は現在販売中止となっています。
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オルメテックを1か月(30日)処方された場合の薬価と自己負担額の目安は?
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以下はオルメテックOD錠の1錠あたり薬価と、1日1回服用 × 30日で計算したおおよその薬剤費(3割負担の場合)です。
規格 薬価(1錠) 30日分薬価 自己負担(3割) 5mg 15.6円 468円 約140円 10mg 21.0円 630円 約190円 20mg 37.4円 1,122円 約340円 40mg 53.4円 1,602円 約480円 ※実際の負担額は調剤料や処方料などが加わるため、上記は参考値です。
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オルメテックは妊婦に使える?胎児への影響は?
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妊婦または妊娠している可能性のある女性には使用できません(禁忌)。
妊娠中にARBを使用した場合、胎児の腎不全・頭蓋形成異常・羊水過少症・死亡など重篤な影響が報告されています。
治療上やむを得ない場合以外は、他の安全な降圧薬に切り替える必要があります。服薬中に妊娠が判明した場合は、直ちに中止し医師に相談してください。
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小児に使うことはできる?
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現在、日本国内ではオルメサルタンの小児への使用は承認されていません。
小児を対象とした十分な臨床試験が行われておらず、有効性・安全性が確立していないためです。小児の高血圧治療には、他の小児適応のある降圧薬が使用されます。
