高血圧治療薬『カンデサルタン(ブロプレス)』
高血圧治療薬
カンデサルタン(ブロプレス)

血圧の薬で『カンデサルタン(ブロプレス)』を飲んでいます。

武田薬品工業のARB治療薬ですね。高血圧だけでなく、
慢性心不全への適応があるのが特徴です。
カンデサルタンは当院でも処方可能です。
この記事では、公的な参考資料を基に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。
1. ブロプレスとは
(カンデサルタン シレキセチル)
ブロプレス®は、**武田薬品工業株式会社(現:武田テバ薬品株式会社)が開発した高血圧治療薬です。
ARB(アンジオテンシンII受容体拮抗薬)の一種で、血圧を上昇させるホルモン「アンジオテンシンII」の働きを阻害して血圧を下げる薬剤として広く使用されています。
主な特徴
カンデサルタン シレキセチルはプロドラッグ(体内で活性化される薬)であり、吸収効率が考慮されている1日1回の服用で持続的に血圧をコントロールできる腎保護作用や心不全への適応など、多方面でのエビデンスが豊富
2. 作用機序と特徴
アンジオテンシンII受容体拮抗作用
- アンジオテンシンII(AII)は血管を収縮させ、血圧を上昇させるホルモン。
- ブロプレス®に含まれるカンデサルタンは、AIIが受容体(AT1受容体)に結合するのを阻害し、血管拡張・降圧をもたらす。
3. 適応疾患
高血圧症・腎実質性高血圧症
レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系(RAA系)の過剰活性化を抑え、血圧管理および腎機能保護に寄与。
慢性心不全
心臓にかかる負荷を軽減し、心不全の進行を抑える可能性が示されています。
小児高血圧症
2019年の承認により、小児向けの用量設定が可能となり、小児高血圧への治療選択肢にも組み込まれています。
4. 用法・用量
以下の用法・用量は一般的な内容であり、必ず医師の指示に従ってください
高血圧
成人
通常、初期用量として1日1回4~8mgを経口投与します。患者さんの血圧コントロール状態に応じて、医師が投与量を調節することが多いです。最大用量としては1日1回12mgまで増量されることがあります。
心不全
成人
心不全の場合は、4㎎から開始する場合がありますが、状態に応じて8mg程度まで調節されることがあります。
用量は患者さんの年齢・合併症・腎機能などによって異なるため、PMDA(医薬品医療機器総合機構)公表の添付文書や担当医の判断を必ず参照してください。
5. 副作用と発生頻度
カンデサルタン シレキセチル(ブロプレス®)は比較的安全性の高い薬ですが、以下のような副作用が報告されています。
- 低血圧、めまい
血圧が下がりすぎることで立ちくらみやめまいを感じる場合があります。特に利尿薬などと併用している場合は注意が必要です。 - 高カリウム血症
RAA系を抑制するため、血中カリウム濃度が上昇することがあります。定期的な採血でモニタリングすることが推奨されます。 - 腎機能障害
過度の血圧低下や既存の腎疾患によって、腎機能が悪化する場合があります。腎機能の定期検査が望まれます。 - 発疹やかゆみなどのアレルギー反応(頻度は高くありません)
副作用の発生頻度は、製造販売業者による市販後調査などで随時報告されていますが、めまい(約1~3%)や高カリウム血症(1%未満)などが代表例として挙げられます。
ただし、患者さん個々の状態によって異なるため、疑わしい症状がある場合は早めに医師へ相談しましょう。
6. 参考情報
- PMDA(医薬品医療機器総合機構)
ブロプレス錠 添付文書 - 医薬品インタビューフォーム(IF)
ブロプレス IF(武田薬品公式サイト等) - 日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン
- 製薬メーカー公式情報:
武田薬品工業
【まとめ】
ブロプレス®(カンデサルタン シレキセチル)は、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)として、主に高血圧症や心不全で用いられる薬剤です。
用法・用量は1日1回4~8mgから開始し、最大12mg程度まで調整されるケースが多く、副作用としては低血圧・めまい、高カリウム血症などに注意が必要です。
ARBにはさまざまな種類があり、患者さんの状態や医師の判断により使い分けられます。
自分に合った薬剤を見つけるためには、定期的な受診や検査を続け、主治医としっかり相談することが大切です。
(本記事の情報は2025年3月時点のものです。最新の情報は必ず医療機関または公式情報を確認してください。)
よくある質問(Q&A)
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ブロプレスっていつから使われている薬なの?
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ブロプレス®は、1999年(平成11年)に日本で発売された先発薬です。
同じARB系の中では比較的早期に登場した薬で、長年の臨床使用実績があります。
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カンデサルタン錠あすか を30日分処方された場合の薬代はいくら?
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錠剤規格 薬価
(1錠あたり)30日分薬価合計 自己負担額
(3割負担)備考 2mg 10.1円 303円 約91円 4mg 16.8円 504円 約151円 一般的な初期量 8mg 31.3円 939円 約282円 標準的な維持量 12mg 35.1円 1,053円 約316円 高用量例あり ※実際の支払額には、調剤料・処方箋料などが別途加算されます。
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ブロプレスと一緒に飲んではいけない薬はあるの?
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はい、「糖尿病の患者さん」に限り、
アリスキレンフマル酸塩(商品名:ラジレス®)との併用が禁忌(絶対に併用してはいけない)とされています。【理由】
- 糖尿病患者さんにおいて、アリスキレンとARB(ブロプレスを含む)を併用すると、
非致死性脳卒中、腎機能障害、高カリウム血症、低血圧のリスクが増加することが報告されています。
■ 併用注意
- 利尿薬(フロセミドなど):過度な降圧や脱水の可能性
- カリウム補充薬、カリウム保持性利尿薬(スピロノラクトンなど)
→ 高カリウム血症のリスク増加 - NSAIDs(ロキソニンなど):腎機能障害や降圧作用の減弱
併用薬がある場合は、必ず医師や薬剤師に相談しましょう。
- 糖尿病患者さんにおいて、アリスキレンとARB(ブロプレスを含む)を併用すると、
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妊娠中にブロプレスを飲んでも大丈夫?
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妊娠中は使用できません。特に妊娠中期以降の使用は胎児の死亡や腎障害など重大なリスクがあります。
- 妊娠判明後はすぐに中止が推奨されます。
- 妊娠希望中の方や、妊娠の可能性がある場合には、事前に医師へ相談し、別の降圧薬(メチルドパなど)への切り替えが検討されます。
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小児でもブロプレスを使えるの?
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ブロプレス®(カンデサルタン シレキセチル)は、2019年5月に小児高血圧症に対する用法・用量が正式に承認されました。これは「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」の公知申請をもとに認められたものです。
