高血圧治療薬「アゼルニジピン(カルブロック)」

血圧の薬でアゼルニジピン(カルブロック)を飲んでいます。

他の降圧薬でむくみや頻脈が出る時に代わりに処方される薬ですね。
アゼルニジピンは当院でも処方可能です。
この記事では、公的な参考資料を基にくすりの特徴をわかりやすくお伝えします。
目次
1. アゼルニジピン(カルブロック)とは?
アゼルニジピンは、ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬の一種で、日本では主に高血圧の治療に使われています。
「カルブロック」という商品名で処方されることが多いです。
この薬は、血管の平滑筋にあるL型カルシウムチャネルをブロックすることで、血管を広げ、血圧を下げる働きをします。
補足:
ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬=血管を拡げて血圧を下げるタイプの薬の仲間
L型カルシウムチャネル=血管の筋肉を収縮させる指令を伝える通り道の一種
同じ系統の薬との違い
アムロジピン(ノルバスク)、ニフェジピン(アダラート)と比べて、
- 血圧をゆるやかに下げる
- 効果が長く続く
- 反射性頻脈が起こりにくい
といった特徴があります。
補足:
反射性頻脈=血圧が急に下がったとき、体が反応して心拍数が速くなること
2. 効果・効能(適応)
高血圧症の治療に使われます
- 軽度から中等度の高血圧が主な対象です。
- 重度の高血圧でも、他の降圧薬と組み合わせて使用されることがあります。
3. 用法・用量
標準的な飲み方
- 通常、成人では1日1回8mgから開始されます。
- 効果が不十分な場合、1日1回16mgまで増量することがあります。
状況に応じた調整
- 高齢の方
- 肝臓や腎臓の働きが低下している方
このような場合は、医師の判断で量や間隔が調整されることがあります。
飲み方の注意点
- 毎日決まった時間に飲むことが推奨されます。
- 自己判断で中断・中止しないでください。
急にやめると血圧が再上昇するリスクがあります。
4. 副作用について
4-1. 主な副作用とその頻度
● 頭痛・ふらつき・眠気(1〜3%未満)
血圧が下がりすぎた場合に起こりやすいです。
とくに立ち上がるときに立ちくらみに注意が必要です。
● 消化器症状(1%未満〜頻度不明)
便秘、腹痛、胃の不快感、吐き気、口内炎などが報告されています。
● むくみ・動悸・顔のほてり(頻度不明)
血管が広がることで、足のむくみや動悸、顔が熱くなる感じなどが起こることがあります。
これらは服用初期に感じやすい副作用です。
4-2. 稀だが注意すべき重い副作用
● 肝機能障害
頻度は高くありませんが、重くなると黄疸や全身のだるさが出ることがあります。
定期的な血液検査で肝臓の数値(AST、ALT)をチェックすることが大切です。
補足:
AST・ALT=肝臓の細胞が壊れると上がる数値で、肝機能の異常を示す指標
● 徐脈・房室ブロック・洞停止
心拍が遅くなりすぎることで、めまい・ふらつき・失神を起こす可能性があります。
心臓に病気がある方は特に注意が必要です。
4-3. 副作用が疑われるときの対応
● 軽度な症状(軽い頭痛・むくみ など)
生活に大きな支障がない場合は、様子を見つつ次回診察で医師に相談しましょう。
● 中等度~重度の症状(動悸が強い・むくみがひどい など)
症状が気になる場合は、早めに医師へ相談を。
薬の減量や変更を検討することがあります。
● 重篤な症状(全身に発疹、息苦しい、急激な血圧低下など)
このような場合は、すぐに受診するか、必要に応じて救急受診してください。
5. 他のジヒドロピリジン系薬との比較
● アムロジピン(ノルバスクなど)
- 長時間作用型で、1日1回で効果が持続
- むくみや顔のほてりが出やすい傾向があります
● ニフェジピン(アダラートなど)
- 血圧を下げる力が強め
- 短時間型では反射性頻脈や血圧変動が大きくなりやすい
- 最近では長時間型製剤が主流
● アゼルニジピン(カルブロック)
- 血圧をゆるやかに下げ、効果が持続
- 反射性頻脈が少ない傾向
※副作用や効き方には個人差があります。
患者さんの体質や持病、生活習慣に合わせて医師が判断するため、自己判断で薬を変更することは避けてください。
6. 服用上の注意点
● 決まった時間に毎日飲むこと
飲み忘れがないよう、日々の服薬を習慣にしましょう。
● 自己判断での中止や減量はしないこと
急にやめると、**血圧が急に上がる(リバウンド)**危険があります。
困ったことがあれば、必ず主治医に相談してください。
● 定期的な通院と検査が必要
- 血圧のチェックだけでなく、
- 肝機能・腎機能・電解質バランスなどの血液検査も定期的に受けましょう。
● 他の薬や食事との影響に注意
- 他の降圧薬や利尿薬と併用すると、作用が強まることがあります。
- グレープフルーツジュースは薬の効果に影響を与える可能性があるため、控えるのが望ましいです。
よくある質問(Q&A)
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アゼルニジピン(カルブロック)の先発品はいつ発売されましたか?
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先発品「カルブロック®」は、2004年に大日本住友製薬(現・住友ファーマ)より発売されました。
現在ではジェネリック医薬品も流通しており、より安価に処方されるケースも増えています。
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アゼルニジピン(カルブロック)の薬価はいくら?1か月分でいくらかかるの?
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以下は**2024年時点の薬価基準(KEGG DRUGより)**をもとにした計算例です。
● 薬価(1錠あたり)と1か月分の目安
製品名 規格 薬価 30日分の薬剤費 自己負担額(3割負担) カルブロック錠(先発品) 8mg 15.8円 474円 約143円 カルブロック錠(先発品) 16mg 30.3円 909円 約273円 アゼルニジピン錠「NP」(後発品) 8mg 10.1円 303円 約91円 アゼルニジピン錠「NP」(後発品) 16mg 12.2円 366円 約110円 ※薬剤費のみで算出。薬局での技術料・調剤基本料などは別途かかります。
7. まとめ
アゼルニジピン(カルブロック)は、高血圧の治療に広く使われているジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬です。血圧をゆるやかに低下させ、反射性頻脈が比較的少ないとされる一方、他の副作用は他のカルシウム拮抗薬同様に見られることがあります。
副作用への不安や気になる症状がある場合は、自己判断で中止せず必ず主治医に相談し、必要に応じて用量調整や他剤への切り替えを検討します。高血圧治療は長期的な血圧コントロールが大切です。定期的な受診と検査を行いながら、症状に応じて治療を継続していきましょう。
参考情報
- 医薬品医療機器総合機構(PMDA)
- PMDAホームページ
- アゼルニジピン(カルブロック)の添付文書・インタビューフォーム
- 日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン」
- 製薬企業公式情報(大日本住友製薬 ほか)
- 一般社団法人日本内科学会 ほか査読付き論文や学会発表資料
(最終更新日:2025年3月)
