高血圧治療薬「ニフェジピン(アダラートCR錠)」

血圧の薬でアダラートCR錠(ニフェジピン)を飲んでいます。

古くからある血圧の薬で内服されている方も多い薬ですね。

ニフェジピンは当院でも処方可能です。

この記事では、公的な参考資料を基にくすりの特徴をわかりやすくお伝えします。

目次

  1. アダラートCR錠とは?
  2. アダラートCR錠の作用機序
  3. 用法・用量と服用上の注意
  4. 主な副作用と発生頻度
  5. よくある質問(Q&A)
  6. まとめ

1. アダラートCR錠とは?

アダラートCR錠は、一般名「ニフェジピン」に分類されるカルシウム拮抗薬(Ca拮抗薬)の一種です。主に高血圧(本態性高血圧)や狭心症の治療に使用されます。

  • CR錠とは「Controlled Release」の略称で、徐放性製剤を意味します。通常の錠剤よりもゆっくりと有効成分が放出されるため、1日に1回などの服用回数を少なく抑えられる特徴があります。

高血圧に対しての役割

高血圧は、動脈硬化や心筋梗塞、脳卒中などのリスクを高める要因です。アダラートCR錠は血圧をコントロールし、これらのリスクを低減することが期待されます。


2. アダラートCR錠の作用機序

アダラートCR錠に含まれるニフェジピンは、血管平滑筋のカルシウムチャネルをブロックすることで血管を拡張させ、血圧を下げます。

  • 血圧が高い状態:血管が収縮し、血流に対して抵抗が大きくなる
  • ニフェジピンの作用:カルシウムイオンの流入を抑え、血管平滑筋の収縮を抑制 → 血管が広がる → 血圧が下がる

これによって、心臓の負担が軽減され、狭心症などの症状を改善する効果も期待されます。


3. 用法・用量と服用上の注意

一般的な用法・用量

  • 高血圧で成人の場合
    通常は1日1回 20mg(アダラートCR錠20mg)から開始し、患者さんの状態によって医師が増減します。最大で1日2回80mgまで増量されることもあります。
    ※用量は年齢・症状・他の併用薬などにより変わるため、必ず処方医の指示に従ってください
  • 服用タイミング
    1日1回の服用が多いですが、食後など服用するタイミングを指定される場合があります。担当医や薬剤師の説明に従って飲みましょう。

服用時の注意点

  1. 錠剤は噛まずに飲む
    アダラートCR錠は徐放性製剤のため、噛んだり割ったりすると有効成分が一気に放出される可能性があり、血圧が急激に下がるなどのリスクがあります。
  2. 急に中止しない
    血圧が安定してきたとしても、医師の許可なく勝手に服用をやめると、血圧が再び上昇してしまうおそれがあります。必ず医師の指示に従ってください。
  3. グレープフルーツジュースとの併用は避ける
    一般的にカルシウム拮抗薬はグレープフルーツジュースによって血中濃度が上昇する可能性が指摘されています。これにより、血圧低下が強く出る場合がありますので、控えたほうが良いとされています。
  4. 妊娠中・授乳中の方は必ず申告を
    妊娠中や授乳中の使用については慎重に判断されるため、服用前に必ず主治医や薬剤師にご相談ください。

4. 主な副作用と発生頻度

アダラートCR錠は高血圧治療薬として多くの患者さんに処方されていますが、以下のような副作用が報告されています。いずれも発生頻度は比較的低いとされますが、症状が気になる場合は医師に相談しましょう。

  1. 頭痛・めまい
    血管拡張作用によって一時的に頭痛やめまいが起こる場合があります。
    • 発生頻度目安:数%程度と報告されたデータもあります。
  2. 動悸・ほてり(顔面紅潮)
    血圧が下がる過程で心拍数が上がったり、顔がほてったりすることがあります。
  3. 歯肉肥厚
    カルシウム拮抗薬特有の副作用として歯肉肥厚が起こる可能性があります。
    • 発生頻度は低めですが、長期服用で歯肉に変化を感じたら歯科医にも相談しましょう。
  4. むくみ(浮腫)
    足首などにむくみが出る場合があります。痛みやひどい腫れを伴う場合は、血栓など別の要因の可能性もあるため早めに受診してください。
  5. 重篤な副作用(非常にまれ)
    アナフィラキシー様症状や肝機能障害、血球減少など、まれに重篤な副作用が報告されています。もし発熱・全身のかゆみや発疹・倦怠感・黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)などが出た場合は、ただちに医療機関を受診しましょう。

詳しい発生頻度や具体的な症例は、厚生労働省やPMDA(医薬品医療機器総合機構)の報告書・製薬メーカーの公式情報に掲載されています。気になる方はそちらも参考にしてください。


5. よくある質問(Q&A)


血圧が下がりすぎたらどうすればいいですか?

めまいやふらつきなど、低血圧症状が強く出るときは無理をせず横になって安静にし、落ち着いてからかかりつけ医に相談しましょう。定期的に血圧を測定し、値が極端に低い場合は受診して処方の見直しをする場合があります。

ほかの薬との飲み合わせは大丈夫?

アダラートCR錠は、特にCYP3A4と関連する薬剤、または降圧作用を強める薬や利尿薬などと併用すると、血圧低下が過度になる可能性があります。内服中のサプリメントや市販薬も含め、受診の際はすべて申告してください。

服用を続けていても血圧が下がらないときは?

生活習慣(食事や運動、喫煙・飲酒習慣)によって血圧に変化が生じる場合があります。まずは生活習慣の見直しと定期的な血圧測定が大切です。それでも改善が見られない場合は、主治医に相談のうえ、薬の種類や用量調整を検討してもらうことが必要です。

6. まとめ

  • アダラートCR錠はカルシウム拮抗薬の一種で、徐放性製剤のため1日1回などの服用回数で持続的な効果が期待できます。
  • 血圧を安定させることで、脳卒中や心筋梗塞などのリスクを下げる可能性があり、多くの高血圧患者さんが利用している薬です。
  • 服用時は、用量・用法を厳守し、噛んだり割ったりせずに飲むこと、グレープフルーツジュースとの併用を避けることなどに気をつけましょう。
  • 副作用としては、頭痛やめまい、むくみなどがあり、いずれも気になる症状があれば早めに医師に相談してください。
  • 高血圧治療では薬に加え、生活習慣の改善が大変重要です。適度な運動・塩分制限・禁煙などもあわせて取り組んでいきましょう。

本記事は、医療機関受診のきっかけや参考情報を提供する目的でまとめています。実際の治療方針や服薬指示は患者さん個々の状況により異なりますので、必ず主治医や薬剤師などの専門家の指示を仰ぐようにしてください。