【健康新聞】子宮頸がん予防対策~HPVワクチン接種推奨~
子宮頸がんはワクチン接種で発症率を下げることができる癌です。
国の公費があり、無料で受けることができます。ただし接種できる時期が限られています。
知識をつけて、納得して予防接種が受けれるように、子宮頸がんやワクチンについて解説します。
医師 原 達彦 2024/12/08
NHK ニュース
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241127/k10014651121000.html
子宮頸がんを防ぐワクチン接種が公費で受けれて、
それが1年延長されるのですね。
そうです。詳細な条件については後ほどお伝えします。
まずは、病気の特性やワクチンの効果などについてなどを確認していきましょう。
日本の子宮頸がんの特徴、現状
- 子宮の入り口にできる癌
- 若年女性の中で大きな割合を占める癌。
- 罹患者 :1万1000人/年
- 死亡者 :2,900人/年
- 30代までに癌治療で、子宮を失う人(妊娠できなくなる方):1,000人/年
若年の女性の発症率が高いのが特徴ですね。
死につながるだけでなく、
妊娠や病後の人生にも影響を与えます。
子宮頸がんの原因:HPV(ヒトパピローマ)ウイルス
- 性感染症の原因ウイルスの一つ
- 子宮頸部にウイルスが感染
- 一生涯に 80-90 %の女性が何らかの HPV に感染 すると推定されている
- 15種類程度が癌化の原因(HPVは200種類以上発見されている)
沢山のウイルスが見つかっていますが、一部が癌の原因となると言われています。
治療は特になく、ほとんどは風邪のように自然と回復します。
子宮頸がんの進行
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou28/index.html
感染させないことが重要です。
異形成の段階で見つけることも大事です。
子宮頸がん予防対策
- ①子宮頸がん検診(婦人科検診):早期発見、早期治療
- ②HPVワクチンの予防接種 :性感染する前にワクチンを投与することで、感染を防ぐ。
検診は、20歳以上の女性で2年に一回受けることが推奨されています。
受検率は40%と低い状態です。
ワクチンの予防接種は、成人するまでに接種するのが効果的です。
HPVワクチンの種類と効果
サーバリックス:2価ワクチン
ガーダシル:4価ワクチン
シルガード9(2023年4月より公費接種可能):9価ワクチン
があります。
・ワクチンの予防効果の観点から9価ワクチンがおすすめです。
・ワクチンの効果持続は12年以上と推定されています
がん予防についてのアメリカの研究
- アメリカでは2006年からワクチン予防接種を推奨
- 25歳未満の女性において、2012年から2019年にかけて子宮頸がん罹患率が年間12%減少(全体では65%減少)
- 死亡者は1992-94年の55人から2013-15年の35人、2019-21年の13人となった
- JAMA. 2024 Nov 27. doi: 10.1001/jama.2024.22169
若年層で罹患率も死亡者数も減少しています
日本もワクチンが広まり、10年後には減少してほしいです
副作用
- 軽微な副作用:疼痛(50%)、めまい等
- 重篤な副作用:ワクチンを受けた1万人あたり約5~7人
- 予防接種健康被害救済制度:万が一、重篤な健康被害が出たときに、法律に基づき医療費、障害年金等の給付を受けることが出来ます。
注射は痛みがあるので当然ですが、疼痛は多くの方に見られます。
コロナワクチンの時と同じく、腕の部分に行う筋肉注射ですね
副作用はゼロとは言えませんが、メリットの方が大きいと思います。
HPVワクチン接種の公費を受けれる年代の整理
2024年時点 | 実施時期 | 費用負担 | 備考 |
0-11歳女性 | 12歳まで待機 | ||
12-15歳女性 | 高校一年生 相当の3月31日まで | 公費 | 中学1年生の年に 接種案内が届く (大阪市) |
16-27歳女性 (キャッチアップ世代) | 2025年3月まで | 公費 | 2022年7月に接種案内済み (大阪市) |
・28歳以上女性 ・男性 | 任意の時期 | 自費 |
1回接種するのに2.5万から3万円かかります。公費で受けれる時期を逃さないようにしましょう。
特に27歳までのキャッチアップ世代の方は来年の3月までと期限があり注意が必要です。
ワクチン接種を受けていないキャッチアップ世代
- 2013年4月 定期接種へ
- 2013年6月 接種差し控え
- (副反応に対するマスコミ報道等により方針の変更)
- 2021年11月 接種差し控えを終了
- 2022年4月 受けていない世代(キャッチアップ世代)に積極的勧奨を再開
2013年から21年までの間に中学生だった方がキャッチアップ世代に当たり、
ワクチン接種を受けていない方が多いです。
1997年4月1日~2008年3月31日生まれの方ですね。
詳細を知りたい方は接種差し控えで検索ください。
接種率は上昇傾向
薄緑色のキャッチアップ世代の部分を見ると、近年、多くの方が受けられているのがわかります。
一番右の数字を見ると、20歳代など50%以下の接種率で、
まだ受けていない方も多くいることがわかりますね
公費延長の詳細
- キャッチアップ接種期間中(令和4年4月1日~令和7年3月31日まで)に少なくとも1回以上接種している者を対象
- 対象の期間は最大で1年間に延長。
- その間に合計3回の接種が可能
以前は2025年3月までに3回接種することが必要でした。
3月までに1回受ければいいなら、忙しい方も予定の調整ができますね。
接種を受けるまでの流れ
- ①接種時期になると、 郵送で接種についての案内が届く。
- ②医院を検索。(大阪市の場合) https://www.city.osaka.lg.jp/kenko/page/0000282789.html
- ③医療機関に電話で予約
- ④母子手帳、保険証、予診票を持ち医療機関へ
- ⑤当日は無料
大阪市の場合を記載しました。
接種の詳細がわからない場合は、
お住いの役所にある保健局等に問い合わせてみてください。
まとめ
- HPVワクチン接種は子宮頸がんの予防対策
- 27歳以下の女性は公費で無料
- 今から令和7年3月31日までに1回接種すればよい
- 中学生のお子さんも16歳になる日までに公費終了
副作用はないとは言えませんが、
子宮頸がんになる可能性を減らすことができます。
ワクチン接種を推奨します。
対象の年齢の方は元より、お子さんがいる方も
一度家族で話し合ってみるのもいいかもしれませんね。